[赤い瞳に、黒い髪。どこか懐かしいような、柔らかく優しい笑み。
小さな子どもの相貌は、きっとそのままの姿で他の人にも映るでしょう。
吸血鬼は一瞬、うっとりとその姿に見惚れます。それを見て悪魔は更に赤い目を細めます。
くすくす、小さく笑うと悪魔はふわりと飛び上がって、
そうして姿にそぐわない大きな鎌で、吸血鬼を一刀両断してしまいました。]
[おじちゃんは、それをただ見守っていました。
吸血鬼はまっぷたつになったまま、幾ら命令してももう動くことはありませんでした。
悪魔はくるりと踵を返すと、再び小さな女の子に戻ってしまいました。
赤い瞳に、黒い髪。悪魔のときと変わらないようで、圧倒的に違うのはその威圧感。
女の子はおじちゃんの肩ですやすやと眠っています。特別な魔法を使えるのは、今はまだ、1度だけ。**]
(137) 2011/10/20(Thu) 17時半頃