[だけども、昨年のこの日。シメオンは列車の遅延で遅刻してしまい入寮式に出られなかったのだ。説明を聞けなかった為、入寮の手続きや自分の部屋番号が分からずシメオンは途方に暮れたんだった。
オスカーに偉そうにああ言ったがシメオンこそ人付き合いは得意ではない。人を馬鹿にして笑いを取る事は出来るが自分の本音を話す事は出来ない。特に弱音を吐くのが苦手だった。
入寮式が終わったばかりで食堂は沢山の人でごった返していて、大荷物を抱えて突っ立っていては邪魔になるからと通路へ出るものの、これからどうすれば良いやら。こんなに沢山の人が居るのに誰かに助けを求められない。
眉間に皺を寄せた顔を俯かせながら行く先も無いのに歩き出す。その表情は軽口を叩く普段のシメオンと何ら変わりなかったが見る人によっては困っている様にも見えたかもしれない。
取りあえず事務へ向うべきだろうか。でも事務の場所も分からないな。泣き言を吐けない代わりにぎゅっと皮の持ち手をぎゅっと握りしめて。そんなシメオンに手を貸してくれたのは――、]
トレイル先輩。
[自分の荷物を運んでいる途中でトレイル先輩にばったり出くわした。>>@25]
(131) 2014/01/21(Tue) 21時頃