………、何?
[廊下から掛けられた声に、先までの思考も忘れて咄嗟に振り返った。
思いもよらない言葉を掛けてきた弟がどんな顔をしていたかなんて、冷静に見る余裕もなかったけれど。]
……っ、
…全部、理解ってるんじゃないか。
[こんなに自分が惨めな理由も。
同じ病院にいることを知りながら、病室へ出向きもせず、あげく顔を合わせたところで避けようとした理由も。
――そんなの、余りに無様で仕方がない。
自嘲するように吐き捨てながら、手の中のカルテは再び机へと放る。今はもう、そんなものに用などないように思えた。]
…満足、だろ。
これでもう、……哀れまれることもない。縛られることもない。
[なかば自棄のような気持ちで口に出して、そうしてしまえばその言葉がしっかりと形を持ってしまったようで、恐ろしさばかりが募る。
言いたいのはそんな言葉ではないと知りながら、何ひとつ纏まらない思考に舌を打って。]
(130) g_r_shinosaki 2014/07/09(Wed) 21時半頃