…あぁ、そうだ。
身体だけでなく、心もだろう?
俺はこう見えて欲もそこそこに深くてね…身体だけで満足出来るのなら、態々君を此処に呼んだりはしない。
……安心させてくれると言うのなら、もっと俺を呼んでくれ。
[掠れた声には、更に熱が篭り。その肌へと触れる度、舌で味わう度に微かに上がっていく息を止めようともせずに。
ちぅ、と小さく音を立てて耳を吸ってやったのなら、塞がれた耳の中ではその音は響きはしただろうか。]
"君を食べさせてくれ"。
さっきから、中途半端な味見のせいで腹が鳴って――疼いて、仕方が無い。
[そうして、漸く強請る言葉を口にする。その間、彼の抵抗があったのならば、すこしばかり不満そうに彼を見つめるくらいはしただろうけれど。]
――……"お強請り"はまだ、足りないかな?
["食べさせてくれ"と強請る蜘蛛など、それはそれは滑稽なものかもしれないけれど。
だけれどそれで、また彼のその翅が震える様を見ることが出来るのなら――それもまた、至極美味な肴になるだろうから。]
(126) ねこんこん 2014/10/13(Mon) 18時頃