[温かい紅茶からは、絹のような湯気が立ち上り、茶葉の深く甘い香りが鼻孔をくすぐる。香りの立ち方だけでも高い価値を示されている紅茶と並んで出されたのは、フルーツがつやつやと宝石のように輝きながらたっぷりと並ぶフルーツタルトだ。そのフルーツたちの輝きが、スージーの瞳の宝石に劣るの仕方のない事としても、イチゴやキウイやオレンジなど、様々な果実が描く色彩は、スージーの食欲を促すのには十分だった。
美味しそうな紅茶とフルーツタルトで、怒りをすっかり鎮められてしまったスージーは、目をつむり、ひとつ頷き]
……仕方がありませんわね。
シェフには罪はありませんの。
泣かせてしまっては可哀想ですわ。
[模範的な所作で、スージーは紅茶に向き合う。
茶葉のつくりだす、ほのかな甘みを舌で堪能する。
執事の淹れた紅茶が、常に完璧な味であるという当然を享受しながら]
ええ。
気品というものを学ぶ前であるというのなら、
視界に入れさせ、学んで頂く必要がありますわね。
(113) gekonra 2014/03/11(Tue) 21時半頃