…これは駄目なんだな。
[自分の手から逃げるように背けられた顔>>105に、ぽつりと呟きながら。けれど何を気にすることもない、ただ、当然だと思った。
受け入れられたのは理不尽な暴力だけで、相手の意識がある限り、自分の行動は大抵が拒絶される。もう慣れてしまったことだけれど。]
おまえが僕を嫌いなのは知ってる。
知ってるけど、――…、
……置いていかれるのは、嫌だ。
[身を起こしながら、疲れきった声音で、溜息とともに言葉を吐き出した。
弟が死んだとして、何もできずにいた自分ひとりが取り残されるのは、余りに惨めだと思う。
特定の誰かを好ましく思ったことなんて、今まで一度だってない。それは血を分けた弟に対してだって、そうだ。
けれどその血こそが、きっと自分の邪魔をする。
兄の立場に甘えて、好意でも親愛でもない、ただ執着めいた汚い衝動の捌け口にしているだけなのだと、まだ認めるつもりはないけれど。]
(111) 2014/06/28(Sat) 19時頃