――……、
[――ミルフィは恨んだりしない、と。自分の意思で戦ったのだ、と。
ああ、聞こえていたんだ。なんて、ぼんやり思いながら。
じわりと染み込む言葉に、じわりと何かが湧いてくる。
それはきっと、事実なのかもしれなかった。事実なのだろう。だからこそ]
――……ナユタはひどい、ね。
[限りなく苦笑に似たようななにかを浮かべて、呟いた。
そう――どうしようもなく優しくて、どうしようもなく残酷だ。
溜息吐いて――熱くなった目頭を隠そうと、地面に視線を落とした。さっきまで、ミルフィがいた地面。
彼の言葉は、私が自分を責める逃げ道を、塞いでしまった。
だって、そうだ。それを否定することは、ミルフィの戦いを、想いを否定することで。
そんなこと、絶対、出来るわけがない。だから、私のせい、なんて泣いて喚いて逃避もできない。
それは辛いけれど、同時に、いまこの状況においては救いでもあった。
ここで女の子扱いされて優しく慰められたら、私はもう、戦えなかっただろうから]
(109) 2013/07/09(Tue) 21時頃