― 帰還 ―
[ゲート修復の報告が入るまでは、そう長い時間は掛からなかった。
それから――誰かと話したかもしれないし、話さなかったかもしれないが――しばらく後。
退魔師もまた、己の世界へ帰還するためゲートへ向かった]
何だか……死後の世界に行くとわかってて飛び込むのは、少し嫌ね。
[仮初かもしれないが、今の肉体は確かに生きていると感じられるだけに、ここに飛び込むのは自ら命を絶つ行為にも思えた]
ううん、もう決めた事だから――そうね。
シンダラ!
[呼び声に応えるように、ボワンと煙の中から虎が姿を現した。
一番得意な式神だけあって、体格も毛並も立派なものだ。
退魔師はいつかのように、その背の上へ横座りに座る]
――征きましょう。
[戦いへ赴くように勇ましく、退魔師と虎は茅の輪の中へ飛び込んでいった**]
(97) suzukake 2013/09/25(Wed) 01時半頃