――……"声"、
[自らの喉へと触れる様子>>81に、ぱちと目を瞬かせ。
――喉の調子を悪くしていただなんて。先まで唄を聞いておれど、さっぱり気付きもしなかった。
自分が疎いのか、彼女が隠すのが上手いのか…はたまた、その両方か。
成る程"盗めぬものはない"とはよく言ったものだ、なんてこっそり感心など覚えながらも、へらりと笑って見せる彼女にツンと唇を尖らせてみせる。]
成る程、成る程。言い得て妙やね。
……しかし困った。キミの声が盗まれてしもうたら、楽しみがひとつ減ってしまうなぁ。
[彼女の浮かべたその笑みを、まるで誤魔化すようだと思いはしたけれど。
しかしそのまま暗い声で話す気にもなれやせずに、少しばかり戯けた声でそう返す。
何やら思案に耽る彼女にひとつ首を傾げ。しかしはたと何かに思い当たれば、懐からひとつの小さな袋を取り出した。]
(90) 2015/01/23(Fri) 03時頃