[店内に響く声>>83に咄嗟に顔を顰める。あまり五月蝿い客は好まないのだけれど、来てしまったのなら拒む事も出来ずに。それでも笑顔を浮かべる程、愛想良くは出来なかった。
薬師は金ズル相手でもない限り、愛想を振りまいたりはしない。先の女形は金の卵だと思ったからそうしたのだ。今目の前に居る相手はとてもそうは見えない]
……いらっしゃいませ。
薬をお探しで?
[微かに漂う鉄の香り。なれば、きっと彼は何処ぞに怪我を負っているのだろう。
竹刀を持つ腕に気付けば、喧嘩でもしたのだろうかと眉を寄せる。万が一にも巻き込まれるのはごめんだ]
傷口を見せて頂ければ、それに合った薬をお渡ししますよ。
此処で付けていっても構いません。とはいえ、治療までは専門外ですが。
[それでも客は客。金を払ってくれる相手はどんな者でも神様だ。勘定場からついと腕を差し出して、傷を見せろと促してみせた。
上客であれば傍に寄ってみせるのだが、彼にそこまでしてやる義理は無い**]
(86) 2015/01/19(Mon) 01時頃