[彼女が顔を上げるタイミングで、温い指先が垂れる三つ編みに触れた
そのまま指背で押し上げ、ぺらりと捲った先ほどとは異なり、忍び込ませるように。節くれだった指が彼女の外耳をやんわりと摘まみ、内側の凹凸を掠めるように撫でてから包み込む。]
ですが、独占欲はあるんですよ。
貴女の色々、僕だけのものにしたいと思っています。
[耳を内包する掌にじわじわと熱が溜まり、己の体温が彼女の薄い末端から伝播していく。その熱の動線を導いて指先がこめかみを降り、クリームの詰まった頬をくるりと撫でた。]
僕以外と、こんなことしちゃ駄目ですからね。
―――…お返事は?
[彼女に疚しい気持ちで触れて良いのは己だけ。
意味深を伝える挙動は教え込むように緩慢。
綺麗な口角から、見えないチョコを親指で拭う素振り。]
(82) momoten 2019/12/01(Sun) 01時頃