[質問に、須藤はどう答えただろうか。>>71
肯定であれ否定であれ、影木のことを好きでいたのは明白で。
もしかしたら、須藤は己の数奇な恋愛体質についてもらすかもしれない。
言わなくても、真墨には直感的に感じ取れるだろう。
『自分の切望する方向と、物事が裏目に出る』。
真墨と須藤は、そういった意味では鏡のように同一だった。]
ボクはね、人が人であることに必要な精神が、ことごとく欠けてるんですよ。
[呟く言葉は、須藤へと届くか。]
仁徳とか、善行とか、そういうのは全然分からなくて。
人らしさも、『生き返りたい』って気持ちも…正直よく分からないですよ。
でも、ここでは『生き返ろう』とするのが『人らしさ』なんだろうなって。
[須藤はどんな表情で聞いているだろうか。
化け物でも見るような目で、真墨を見ているかもしれない。]
でもね、そう在ろうとすればするほど、『人間らしさ』からは遠ざかっていく。
焦がれるほどに望めば望むほど、その望みは手をすり抜ける。
(80) 2014/03/24(Mon) 21時半頃