(……………気持ち悪ぃ)
[毟り取ってやりたい。
返せと叫んで、二度と咲かないように根絶やしにしたい。今度は彼女から何を奪って咲いたのだろう。気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。
込み上げてくる衝動と嘔吐感。喉の奥が苦しい。早く、はやく。彼女の視界から消えないと。角を曲がる。足が震えた。堪え切れない。ああ、きっと自分は酷い顔をしている。]
──────……ッ、…ぁあア!!!!
[続けて二回、角を曲がって。目の前に開けた空間、硝子張りの向こうに中庭が見えた。
瞬間、躊躇無くその嵌め込まれた硝子を殴り付ける。
二度。三度。割れないのを知っている。四度。硝子越し、白い風に揺らされた花達が、容易に激情を煽って。五度。ついでに蹴飛ばした。強化硝子が衝撃で揺れる。脚が縺れて膝を着いた。酷い吐き気に廊下の隅でえづくものの、なにぶん出すものが無い。
げほげほと噎せながらその場に座り込んだ。
肩で息をして、蹲る。無意識に左腕を包帯ごと握る。握る。
誰かが通りすがっても、何時ものことと見て見ぬふりをするか。声を掛けるなら、およそ不機嫌そうな返事が返るのは間違いないが。]**
(74) 2014/09/03(Wed) 03時頃