[そう。どれだけ花の佇まいが美しかろうと、どれだけ花が甘い香りを出そうとも。
それらを選び、味わう手段の決定権を持っているのは『蝶』なんて言葉に収まらない、この男なのだ。
逆らう事も拒否する事も許されぬのが我ら花。]
……何の事か、俺には分かりかねます。
[口答えは許されぬみであれど、知らぬ分からぬような様子を装うくらいなら。
そのまま笑んで流してしまおうとの企みは見透かされていたのか、
口の端に押し当てられた物は閉じる事を許してはくれず。
不満には思えど表情には浮かせずされるがまま。
媚を売るわけでも無く、かといって朧自身の色を浮かべるわけでも無い。
それを今宵の主はどう感じていたか。
導かれるままその意味を悟ると>>68息を詰まらせ動きが止まってしまう。
初めてでも、ましてや慣れていない訳でも無い。しかし。
羞恥が慣れを上回る事数秒。躊躇いながらも器用に口だけで目的の物を探し当てようと、何も無かったかのように動いた。]
(72) 2014/09/15(Mon) 01時頃