不意に髪へと伸ばされた手に一瞬びくっとしながらもすぐに平静を装う。髪を染めるか、という問いに苦笑を漏らしながら。]
…いえ、遠慮しておきます。…煩わしいですが、それでも少しは気に入っているんです。
[せっかくの話ですが、と一言付け足しやんわりと断る。…この髪は確かに不便だが、それでも多少の思い入れは…。ああ、なんだったか。誰かに綺麗だと褒められた覚えがあったが、霞がかかったように思い出せず、それもそれでいいかと諦めた。]
さて…。もう日も高くなってきましたし、お暇させていただきますね。…ああ、今後のお話は楼主に掛けあっておきます。……また来ます。
[そういうと今日の薬代を置き、立ち上がった。…また退屈な昼見世の時間か、と心の中で思うも、薬以外の思わぬ収穫に心揺らしながら店の外へ足を向けただろう…]
(71) 2015/01/21(Wed) 00時半頃