[何人かにカレーをよそった頃、横合いから瑛美に声をかけられて、千秋は振り向く。>>51]
あ、お帰りなさい。よそってるだけですし、気にしないで……。
[返事をして振り向いた先、瑛美の手が梶という少年の服の袖を握っていることに気づいて、千秋は何故だか面白くない気分になる。いや、あるいは、みんなでご飯なんて冗談じゃない、みたいな事を言った梶を、瑛美が無理やり連れてきたとか、そういうことかもしれない。
そんなことに頭を回していると、瑛美からよそう役を代わろうかと提案された。]
あ、ええと。
[確かにカレーの良い匂いは、千秋の食欲をこれ以上ないほど刺激していた。しかし、それは瑛美もまた同じではないだろうか。迷った視線の先、梶の服の袖をつまむ瑛美の手がまた視界に入る。]
それじゃあ、お願いします。
僕の分と、梶くんの分、よそってもらえますか? ……梶くんも、食べますよね、カレー。
(67) busoa 2015/02/10(Tue) 21時半頃