[一旦ソフィアが家に戻ると席をたった。
それを見送ると冬の間の仕事の依頼品を片付けながら、ドナルドと何か言葉を交わしただろう。
不意にドアをノックする音。
今日はよく人が来る。]
――あいとるよ…ああ、あんたか。
[ブランフォート家の爺やさんだった。
ドアの前でおろおろとした様子で何事かをウォーレンに伝え。]
もう冬前に頼まれてるもんは昨日渡したが――え?
――いや、こっちにゃいないが。
[冬眠前に屋敷から脱走したお嬢様を必死に探しているのだろうか、心当たりがないことを伝えればややがっくりとした様子で足早に去っていく。
あの様子では相当に探し回っているのだろう。
爺やさんには少し同情しつつも、おてんば娘の脱走については心の内でクスリと笑う。
彼女にとっては2度目の冬だが、確か前はまだほんの赤ん坊だったはず。恐らく物珍しくてたまらないのだろうということは想像できた。]
(66) 2013/11/23(Sat) 17時頃