[遠慮がちに言葉を重ねる。
フィリップ程の力はないと知っていても紡がずにはいられなかった。]
――俺も…
俺も、先輩とはあまりお話し出来なかったけど。
先輩と出会えて良かったと思います。
あの時、絵を見せてくれて凄く嬉しかった。勇気を出して声を掛けて本当に良かった。
俺なんかじゃ、気の利いた感想は言えないですけど。
あんなに綺麗な絵を生み出す手が、居場所のない子犬に差し伸べる優しい手が、必要とされないわけがない。
[じわりと青灰が滲む。感情が高ぶった所為か、酒精の所為か。]
だから、自分が居ない方が良かったなんて言わないで下さい。
楽しい事も、嬉しい事も、誰かに必要とされる事も。
きっとこれまでにもあったと思うけど、これからもっともっと沢山見つけられると思うんです。
辛くなるほど、頑張らなくても良いけど。…諦めないで欲しいです。
(63) 2014/03/09(Sun) 22時半頃