……おい、
[その扉よりさらに向こう。廊下のど真ん中で何やら小競り合う、ふたつの影>>54>>55に、思わず唸った。
ここからでも、目を凝らせば理解る。片方は昼食時に会話をしたばかりの疑心暗鬼の青年、もう片方は――弟だ。
病棟の中で暴れられるのは困る。見てしまったからにはどうにかしなければならない、のだろう。食えないあの同僚なら、どうするかは理解らないけれど。
何より、このふたりは絶対に相性が悪いだろう。弟の胸倉を掴む青年を見て、素早く足の向きを変えながら、そんなことを冷静に思う。]
すみませんが、お二人で行っていただけますか。
戻れたらすぐに戻りますので。
[顔の向きは変えないまま、同行者のふたりに声をかける。最後まで付き添えないのは不安ではあるけれど、デメテルを独りにしないことには、少しだけ安心して。
弟が足を上げるのが目に映って、思わず苦々しい笑いを落とした。あいつは本当に足癖が悪い。]
…廊下で暴れるのはあまり関心しません、ね。
[白い廊下には身を隠すものもないから、そのまま真っ直ぐ、ふたりの青年の元へと向かう。
すぐに気付かれるか、目の前の相手に夢中で気付かれないか。それは理解らないけれど。]
(60) 2014/06/25(Wed) 04時頃