[この駅内には勿論、ニズから乗り込むような者も居るだろう。
善意に目をつけられはしないかと、
可能な限り目立たぬ様に縮こまったり、
時折自分の様な身なりの良くない者を見つけてはその後ろにつき、まるでその子である様な顔をして歩く。
途中、見覚えのある真っ白なコートを見つけ>>52
くしゃり、と紙袋を抱き締めた。
…同じ列車だったとは!
自分を見据えた目、更々にまずい事だと少年は焦る。
一方で幸いな事に、信心深い者達の目は下級階層の者同様に異郷の者>>49に向かっていたらしい。
善意の反面で排他的な彼等は、その様な矛盾すら抱えがちなのだ。
雪燕は清掃中だ。車掌や清掃員にも見付かりたくない。
完全に板挟みとなった彼は、一目に付かぬ場所を探す。
この駅で隠れ夜を待ち、誰もが寝静まった頃に移動する道もあるかもしれない。
…最初に見つけた物陰には、先客>>46が居たのだが。]
(54) 2015/11/30(Mon) 13時半頃