-少し前・追いコン会場に到着する前-
[――…彼は誰時、逢いたい人は、不在なり、うつむいて、魔が時の、橋渡る。黄昏時は、誰そ彼の時。
夕闇に己の陰が曖昧になった頃――手紙をクロッキーブックに挟み込んだ丁度その後だっただろうか、>>50背中に投げられるのは、控えめな声。消え入りそうな程に弱い声は、]
ん……? ぁ、ぇ、エリーさん…… と、犬…?
[夕闇に焼かれた黒髪は、淡く紫が掛かったように見える。
何か思いつめたように俯く彼女。――と、犬が居る。何故だろう。そう言えばこんな風に、美術室以外のところで二人で話す事なんてあっただろうか。
やがて。押し付けられるようにして手渡される、それは。]
……?! ぇ、え、あれ…これ…生徒手帳ですか…?
び、美術室で、ですか…?
[御礼より先に驚きが口をつく。ポケットを探ると確かにいつもあるはずの手帳が無かった。
確かに落としたのだ。まさか。あそこで。]
――…って、あ、エリーさん…どこへ…?
[問うまでもなく先に進む彼女。会場とは全く違うところへ足を進めていく。振り向く事もなく答えられた行先は、裏庭だった。――何をしに?]
(52) 2014/03/07(Fri) 18時半頃