[そのままで取れぬような響きを持った返しに>>40暫しの間口を閉じ。
ゆっくりと瞼を下し、尽かぬ息をまた小さくはく。
こげ茶も蔦色と共にゆるりと揺れ動き、半分程瞼を明け映すのは美しい射干玉ではなく己の足元。
厚い雲は微かな月光さえも通す事無く。]
俺は、花である事に誇りも無ければ後悔も無かった。今までは。
だが、昨日は………止める事が出来なかった。
手を掴んで、もっとましな言葉を伝える事ができなかった。
俺もあいつも『花』であるがゆえに。
なぁ、櫻子。花は『大事な物』は何一つ、持ってはいけないのかもしれないな。
[それは彼に向けながらも朧の独り言にも近い言葉。
櫻子が聞いても何の事やらわからない言の葉に困らせてしまったかもしれない。
それでも誰かに聞いて欲しくて。今の朧は『花』としてなっていないと言われたかったのかもしれない。
『大切な物』を持つのがこんなに苦しい事だなんて、知りもしなかった。]
(46) 2014/09/20(Sat) 00時半頃