な、…!
[何をやってるんですか。正気ですか。
そんな言葉にも男は耳を貸す事はない。彼の口角が猫のように釣り上がる。銃口が虚空に向けられるその動作が、酷くゆっくりに見えた。
静止しようとした言葉は、けたたましい銃声、落ちる薬莢の金属音に飲み込まれる。
咄嗟に耳を塞いだのが幸いだったか。それでも、劈くような破裂音は鼓膜を容赦なく揺らす。耳が痛い。
そうして、暫しの後、銃声が止む。
どうしようもないと悟ったのか。踵を返すその背>>26に、ひくりと頬が引き攣るのがわかった。言いたいことは山程あれど、また昨日のように死神に絡まれるのも御免被りたい。
男を追って、駆け出す。
最中、こちらに目を向けていた女性>>27と目が合ったならば、軽く会釈をして、手を合わせる。
うちの馬鹿が驚かせてすみません。そんな意図を込めて]
(42) 2015/03/08(Sun) 21時頃