― 人狼殿 ―
[予想以上に自らが封印されて居た間に敵が弱くなっていた事に含み笑いがどうしても漏らしながら、自らを復活させるために散らせてきた同胞たちの魂の塊である胸の大穴のように見えた新月《ロシュ・ホデシュ》に触れる]
"盈月の大狼"ガストンよ。
お前の活動は無駄ではなかったぞ。
[遠い昔、自分の父が人狼族を束ねていた頃から一族に忠誠を誓っていた一際大きな体躯の同胞を思い出す。
幹部勢の中で唯一と言っていいほど本当の意味で信頼をしていたその男は既にこの世に居ない。
それが自分を復活させるきっかけであり、またウルフマンの最後の敵と思われていた相手でもあった]
だが、お前の本能は甘かった。
この世を終わらせる事に力を使えば良かったものを。
[その言葉には冷徹さを含んで、人狼殿に戻る。
紫のオーラを再び纏い、人間の姿を取り広間へ戻る、執事然とした態度で迎える男に片手を挙げてから玉座に座る]
(36) 2011/12/18(Sun) 22時頃