ーとある船員の回想録ー
[今ではその回想録の著者はこの世を去った。
その船員が毎日密かに日記をつけていたことに気を留める者などいないだろう。
それは大部屋の隅に転がっている。
誰かが手に取って読んだのならこんな内容を目にすることが出来たろう。]
△月○日
今日は朝早くから甲板の掃除の当番だった。
誰も起き出さぬ時間から掃除などする意味などあるのかと思うが、元軍人殿に睨まれたくはない。
甲板に行く途中、厨房の方から何やら話し声が聞こえてきたので寄って聞き耳を立てることにした。こんな時間帯から一体誰がいるのかと思ったのだ。
その話し声の内容を記憶が覚えてる限り忠実に書き留めるとこうだ。
「キティ、私などほんとは怖いものだらけだよ。
朝起きて甲板に出るとする。すると私は絶望号の他に船を見つけるのが怖い。
絶望号の船長は獲物を見つけたのなら略奪を命じなくてはならない。
私は大丈夫だ。今更戦闘で怪我を負うほど弱いつもりはない。
だが船員たちが死んでいくことは珍しいことでもなんでもないじゃないか?」
(36) mikenek 2014/12/18(Thu) 23時半頃