―バートレット家・室内―
[次に手にとった本は、魔法を題材にした物語だった。
本を読む手は止まらない。ざわついたこころはもう既に凪いでいた。
ベネットが戻ってきたけれど>>0:101、サミュエルの思考はもう、物語の続きに持って行かれていた。
ゆるゆると首を振って、<今度改めて挨拶にいく>と告げる。
一度受けておきながら断ることになった非礼に対する侘びもあわせて。]
[ライジの誘い>>0:105には、す、と読んでいる本の表紙を見せる。
それは、これを読むまでは居る、という意思表示でもあり、自分はこれを読み続けるけれどいいか、という伺いでもある。
此処に座って読書に耽っていると、時折こうして茶に誘ってくれるライジに、毎度やる仕草だ。
最初はいちいち本を置いて手話で告げていた言葉は、いつからか簡略化した。]
(34) 2013/08/31(Sat) 06時半頃