ですが、それは――打たれることのない聖職者の戯言に過ぎない。
[声を低くして――自分の皿の腸詰に、フォークを荒々しく突き立てる]
――私はね、メルヤさん。
元々は、傭兵だ。仲間の血には、同じだけの血を。そういうルールのなかで生きてきたんです。
[口調は丁寧な聖職者のまま、だが、その熱量は増して]
私が護るはずだった司祭は、昨夜、死にました。
上司としては、親近感を覚える相手ではありませんでしたがね。
ですが――この血の復讐は、屈辱の雪辱は、この手で魔を祓うことでしかなされない。
貴女の信ずるものがどこにあるかは知らないが――、
お仲間の仇を討つ気が、己の砕かれた自負を取り戻す気があるならば。
たとえ情報収集だけであっても、協力を願えないかと思いましてね。
[もちろん――と。蛇足のように、付け加えたのは]
――いわゆる、世俗的な意味での謝礼は、惜しみなく。
(32) 2015/08/25(Tue) 21時頃