おお、トニーというのか。
私の名前はバーナバス。ご覧の通り神様じゃ。
[どこが『ご覧の通り』なのかまったく分からないが、この老人は純粋な少年に神様だと名乗って惑わすのが趣味なのかもしれない。
だとするなら悪趣味にも程がある。
少年も、『神様』への反応もそこそこに現状をぽつぽつと喋り始める。
どうやら迷子になったようだ。おおよその理由は見当がついたが、バーナバスは敢えて言及しないことにした。
少年からどうしてここにいるのかと問われれば、]
そりゃあ…この先に友人が住んでるんでの、冬の前の挨拶に…
[とはいうものの、この先には人の住んでいる建物どころか小屋の一軒もない。そんなものがあれば二人ともこんな何もないところで出会わなかったはずである。
たまたま『この先』、と指さした先は、はたして若き龍がねぐらにしている洞窟だっただろうか。]
(26) 2013/11/28(Thu) 23時半頃