[しかし、しっかりと絡みついていた蛇にその動きは意味が無く。感情の見当たらない瞳はこそ泥に掴んだナイフを振り降ろす暇を与えずに]
あ……
[その牙で皮膚を貫いた。
ナイフは手を滑り落ち、それに続いて身体も冷たい石畳の上へ崩れ落ちる。
短剣を使えば良かったのかもしれない、だが、売り物を汚して価値を落としたくなかったのだ。しっかりと戦利品だけは未だ掴んだまま、何とか這いずり動こうとするも]
……く、そ
[その先が行き止まりであることを目視した後、蛇の毒が回りきったのか動けなくなった。
これは麻痺毒か。蛇は追撃することなくどこかへ消えてゆく。そこでやっとあの男に思い至る。
呪術師だったのか、黒蛇に気配が無かったのも、その為なのだろう。今更気付いても全ては遅い。最早失態を悔やみながら、訪れる時を待つしかなく**]
(22) 2015/08/21(Fri) 11時頃