――花よりは、月が好きかな。
[含む意味は二つを兼ね。ただ目前の花が庭花のことを問うていることなど、知ってはいるけれど。
何処か居心地悪そうに視線を逸らしたその脳内、泡沫に思い浮かぶ記憶は銀月。夜空に揺蕩うその姿を如何にして捕まえようかと思案を巡らした後の――宴。
ただ窮屈さに心を滲ませれば、無意識に掌を握り込んだだろうか。
そうして再三視線を向けた先は>>12。
格好からして自分と同じ、花を求めて翔ぶ蝶だろうか。
自分よりも幾ばくか色素の薄い金色は、夕闇の中にも薄く煌いているようにも、見えた。――其れはまるで、夜空に瞬く星の様に。]
キミ達は……んん、野暮なことを聞くのは止そうかな。
俺はトレイル。…トレイル・ペティンガー。
よろしく、ね。
[ゆらり首元に掛かる髪を揺らし、寄り添う蝶と花に首を傾げては微笑んで魅せた。
そうして細身の蝶が何か素振りを見せたならば――翅同士の握手を求める様に、黒衣のそれを差し出したことだろう。]
(16) 2014/09/17(Wed) 15時頃