[ 基本は鈍感な竜海は、部屋に戻った後に美術本を眺め始め夢中になりまた一人の世界に入っていた。
共用キッチンで食事を取ったのは、他の者より遅れた時間帯だろう。
その料理特有の香りのお陰で気づく事ができた。
自分の分のカレーと、作り主の正体に。
敷波玲は、同い年のOLだ。
絵に描いたようなキャリアウーマン。普段の様子から敏腕であると想像している。
カレーすら授業で作った記憶しかない自分には、わざわざ皆の分まで作ってくれるのには尊敬の念すらある。
用意してくれると、食べようという気持ちになれるのも助かる。
食べられたら何でもいいという性分故、ナマコ酢も珍しい物を食べさせてもらったという認識。
他者について自己解釈し決めつける性質と、決定的と言うほどのものは見ていなかった偶然でイメージは保たれていた。 ]
(16) 2021/02/16(Tue) 01時頃