[───いっそ死んでくれたらいいのにな。
あの日、父親が姉に向けて呟いた言葉。そして、自分の中の心の奥へと押し込んで見えない様に蓋をしたはずの思い。
───なんてことを聞きやがる、クソガキめ。
”本物”の煙草を取り出して口に咥える。
安物のライターは火の付きが悪く石を2,3度叩いて漸く火が着いた。吸い込んだ煙が肺を満たし少しだけ気を落ち着かせてくれたが、フーと吐きだした白い煙はメイの顔へ向けた。子供っぽい嫌がらせ。]
死んだら終わりだ。
きっと楽だろうな、生きていくよりも。
[生きているから希望を持つ、いつかまた名を呼んでくれると。いっそ死んでくれたらそんな淡い期待も持たず胸の痛みに苛まれることもないというのに。
それでも、そうだったとしても───]
失望させ続けろよ、いつまでも。
[───永遠に失って絶望するよりは遥かにマシだ。]*
(14) 2019/02/10(Sun) 11時頃