『 アーーーっとォ!テストテスト 』
[【匣】に、女の声が響き渡る。
建具から、家具から、あちこちに仕込まれているらしいスピーカーから、その声は匣全体に届けられる。
未だ、2階広間にいる人間がいるならば、その部屋のみは、先程までと同じ、まるで女が話しているかのように聞こえる音を耳にすることになるだろう。]
『 ワタシ、大切なことをお伝えし忘れてまして―― 』
[申し訳無さそうな声で、女が告げる。]
『 先ほどは忘れていて――でもまあ、皆様お揃いでしたから、構いませんヨネ。
実ハ、このゲーム……脱落者をお知らせする親切仕様デシテ――まア、ワタシの担当なので、その人がゲームを去った瞬間すぐに、というわけにもいかないんですが…… 』
[言い訳をするかのように、女の語尾は小さく細っていく。]
『 何はともあれ、日村洋次サン以降、駒は減っていないノデ、これは臨時放送というコトで――モウ、もったいぶっちゃって……もうカウントダウンは始まってるンですよー? 』
[わざとらしく拗ねて見せるような口調に、広間では、女が頬を膨らませるモーションを目撃できたかもしれない。]
(1) 2014/06/22(Sun) 00時半頃