…本田さんは。
[びり、と指先が痺れるみたいに疼く。誤魔化すみたいに彼女の方を振り仰いだ。]
どんな風に過ごしてた?
なりたいものとか、好きなこととか。
学校のこと、とか──ああ、最初の日に着てた制服。見たことある。
住んでるとこも、そんなに遠くないのかもね。俺たち。
[学校、そう口にして、少し苦しくなる。進村も、同じところの生徒だろうか。ちらりと浮かんだ思考が、表情に出る前に頭の片隅に追いやった。
ベッドについていた頬杖を解いて、腰を上げた。隣りに座ると、さっきより距離が近くなる。マズいなあ、なんてのんびりと考えた。
本当に会話自体は他愛ない事ばかりなのに、時折彼女は酷く楽しそうに笑う。>>4:95 そうして、思い出したように目を逸らして髪を弄った。
気の強そうな、ツンとしたその目元が緩むと、ちょっと表現が難しいくらいに愛らしい。そう思うのが、本田の元々の整った顔立ちのせいだけではないのに、もうとっくに気付いてしまってる。]
(0) 2014/03/25(Tue) 02時頃