[相対するヴェスパタイン皇子が、チャールズの言葉に笑む其れを翠の端に捉えた。
外野との会話が交わせる余裕がそも実力の差をありありと物語っている。
溜息の一つも吐きたいが、此方は其れをする余裕すらない。
がき、と難なく受け止められる刃から伝わる衝撃。
勿論それが皇子に届くとは欠片として思いはしないが、其れなりに勢いを乗せて繰り出した一閃。
其れを力任せに跳ね上げられれば、此方の体勢は呆気なく崩れた。
雪崩れるように数歩、後ろへと下がった足は間合いを取るようにしながらも
あくまで切先は相手へと向けられたまま。士官学校で身に付けた模範的なそれとは、直ぐに知れるだろうが。]
――如何しましょうね、余りに難しいので。
“サイラス”が、軍属(シェルベリ)の家に忠実な嫡子である ならば、
“俺”は其れから外れようと、 幾らか考えていたのは、事実ですが。
[あくまでそれが理由の一部だと、そう裏に含める言葉は
欠乏する酸素を摂取する為に、言葉は細かく千切れていく。
…本気など出されたら、1分も経たぬ内にこの斬り結びも終わるだろう。]
(+65) 2011/03/29(Tue) 01時半頃