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―当たり前だろ。
俺はずっとあの人達の背を追いかけてたんだから。
[応じる言葉は、少しだけ誇らしげに。
ホレーショーとヴェラの消耗の差は激しい。
けれど傷ついた彼にもうやめろとも望めない。
―例えこの声が聞こえたとしても聞かないだろう。それは彼の矜持に関わる事だから。
ヴェラは、かつて自分を片腕と呼んでくれた男は、気高く強い。
どれ程傷ついても闘志を失わないその姿は、自分が追おうと決めた背から少しも変わっていなかった。]
……。
[―けれど、それが今は胸の痛みを増す。**]
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【人】 歌い手 コリーン ばぁか。置いて行けるわけないでしょ。 (68) 2013/06/20(Thu) 01時半頃 |
[―早く消えてしまえ。
未だ地面に横たわった自分の躯を見つめる。
それで魔物の意識が逸れなくなればいい、と思いながら。
ツェツィーリヤの肉体が霧散し、風に舞うローブ。
それと同時に、場は動く。
供物である毛皮を手放し、前のめりに倒れ込んだヴェラ。
無言で彼に近付いていくホレーショー。
―魔物の鉤爪が、ヴェラへと向かう。]
―…っ。
[その結末を知りたくない、とでもいうようにイアンの躯は崩れる。
魔に落ちた所為か、うっすらと紅に染まった砂は風に煽られ霧散した。
其処に「死神の指先」と「鉤爪の破片」、ペンダントを残して。**]
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【人】 歌い手 コリーン[降り注ぐ赤い雨は、皮膚を伝い、傷から溢れる赤い血を混ぜて流れていく。] (76) 2013/06/20(Thu) 19時頃 |
【人】 歌い手 コリーン 貴女は、本当は。 (77) 2013/06/20(Thu) 19時頃 |
【人】 歌い手 コリーン[身体を打つ雨。止まない雨。冷たい雨。 (79) 2013/06/20(Thu) 19時半頃 |
【人】 歌い手 コリーン だめぇぇええッッ!!! (89) 2013/06/20(Thu) 21時頃 |
【人】 歌い手 コリーン[私は咄嗟に、氷蜥蜴を背にする様に、右手を翳すヴェラの前に身体を滑り込ませた。 (90) 2013/06/20(Thu) 21時頃 |
― ―
[ツェツィーリヤは其処にいた。
彼女が覚えているのは、
魔物と化したイアンの武器を受けたこと。
其れから先は、千切れたように曖昧だ。]
……嗚呼。
私は……。
[千切れたような記憶を手繰り寄せ
ツェツィーリヤは、ヴェラの右腕に居ると知る。
傍にいる気配を探ろうとすれば、
其処に感じる気配は、イアンの物。
イアンもまた、同じように生贄にされたのだと知れば
彼女の魂は悲しげに揺れる。]
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―ヴェラさん…っ?
[地に伏したヴェラが、右手を氷を纏う蜥蜴に向ける。
自己を生贄とした術は知識としては知っているが、使用したことも目にした事もない。
だから右手に向けられた彼の声が、何を意図してのものであるかは分からず。
けれどそれまで静かだったツェツィーリヤの声が聞こえれば、其方に意識は映った。]
…ツェツィーリヤさん。
[途方もない願いの為に、ヴェスパタインと同じく、自分が瀕死に追いやった魂。
名前を紡いだだけで、それ以上は何も言えない。]
…っ。
何してんだよ、ホレーショーさん…!
[彼の心中が分からない故に、コリーンの乱入が予想外だったのか、という考えに至った。
彼らを置いて走り去るホレーショーに、声を投げかける。]
[ツェツィーリヤはその名を呼ばれ
……貴方も、此方にいらしたのですね。
[それは、感情を隠すことを止めた彼女の
何処か寂しげな笑み。]
……うん。
[
けれど、それは自分が何度か目にしたそれとは違い、何処か寂しそうだと感じた。]
……。
…ごめんな、さい。
[震える声でやっと紡いだのは、謝罪の言葉。]
[生と死の狭間を漂っていた時に聞こえていた魔物の声は、
今もまだツェツィーリヤに聞こえている。
それは、魔法使いの右腕が
魔物に近いものであるからなのだろうか。
或いは、他に理由があるのかもしれない。
聞こえた氷蜥蜴の声に
何処か言い訳のような響きを感じていた。]
[短い沈黙の後にイアンが紡いだ声
……何を、
謝るのでしょうか?
[返す言葉は、あの時
【人】 歌い手 コリーン やだ。やだよ。ヴェラさん。 (103) 2013/06/20(Thu) 23時半頃 |
[
…だって。
貴女を倒して、生贄にしようとしたでしょう。
[自分の足音を聞きつけて後を追ってきた彼女を、魂を取り込もうと狙った。
もし彼女があの時自分を追わなかったら。
ヴェスパタインの血を服に付けていた彼女に、嫌疑がかかっていたかもしれないけれど。}
私は、魔法使いです。
魔物を討伐することが任務です。
その際殺されることも覚悟していました。
対して、あの時の貴方は魔物でした。
魔物が魔法使いを殺そうとするのは、自然でしょう。
[ツェツィーリヤは、淡々と事実を告げる。
イアンが魔物ではないと知らなかった時。
ツェツィーリヤ自身を魔物と思って
攻撃しようとしていたとも思っていた。
どちらにせよ、其れは自然な行動だったと。]
…っ…。
ヴェラさん…っ。
[宿主の異変は右手にも伝わってくる。
彼の傷ついた身体が限界に近い事は分かっていた。
ツェツィーリヤの身を生贄にした魔法がなければ、或いは自分が手を下していたかもしれないけれど。
今まさに、途切れそうになっている命を想い、顔を歪める。]
【人】 歌い手 コリーン[貴方の『頼み』は、分かっている。 (111) 2013/06/21(Fri) 00時頃 |
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