43 朱隠し
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[驚かれた事に驚いた]
そうか?良くわからんが。
[まったく無自覚だったが、言われてみればそうなのかもしれない。
攫ってきた相手はこうして連れ出すことも少なかった]
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─ 自宅 ─
[自室である座敷へと戻ると、文机の上に並べてある紙片が目に入る。 先日破ってしまった、兄様からの手紙だ。]
祭りが、終われば……。 あの家に、久々に戻り… …暗い気持ちを抱えながら、また、この座敷で一年を過ごすのか。
[また一年経てば。 あの無邪気な山の神や、方法がどうであれ自分を心配してくれたご先祖様や、そして兄に会いたいと願うあの少年にも会えるだろう。あの少年の場合、今とは違ったものになっているのだろうが。]
(60) 2011/02/17(Thu) 22時半頃
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定吉さんは……どうする、かな。 もしかしたら……連れて行かれる…かな?
[わざと、彼を一人残して帰ってきた。 甘い物が好きだと言っていた山の神。飴師の定吉を仲間にしたいと考えるかもしれない。 それはそれで──良い事のように、思えた。]
…………。
[部屋に置いてあった犬の面を撫でながら、口角を上げて*笑んだ。*]
(61) 2011/02/17(Thu) 22時半頃
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藤之助に、何となくだがな、と微笑んで。三人と共に夕餉を囲む**
落胤 明之進は、メモを貼った。
2011/02/17(Thu) 22時半頃
[夕餉の支度をするという華月斎に手伝うと申し出るも、
座っていてくれと謂われ、家の中を眺める。
仕事場と思しき紙や糸などが広がっていたが、
作ったものは見当たらなかった。
やがて夕餉ができあがるころに藤之助と朧が来る]
いらっしゃい…って言ってもいいのか迷うのですが…
これから…よろしくお願いします。
[藤之助が妙ににやついている気がしたのだが
その意味を悟ることはなく
朧が驚いている様には]
私が…華月斎殿に頼み込んだのです。連れていって欲しいと
[藤之助に背中を叩かれ、改めて華月斎と一平太を見る。
少なくとも、嫌々ながらということではなさそうで、安堵する]
……かわった?
[そもそも、以前の藤之助をよく知らない。
知っているのは、ひどく残酷でやさしくて、子どものように我が侭な、愛して已まない藤之助だけだ]
落胤 明之進は、メモを貼った。
2011/02/17(Thu) 23時頃
[一平太から華月斎に頼み込んだのだと聞かされれば、意外な気がして目を丸くするが]
まぁ、縁とはそういうものなのだろうな。
[ふっと笑み、家にあがらせてもらうことにする]
[華月斎の言葉に首を傾げながらも、まあいいやと気を取り直して。
一平太へは先ほどのおまけ―普通の椿油―をこっそり渡す]
何にでも使える便利なものだ。そう、何にでも。
[どちらがどうなのかはわからないが、紙を扱うなら部屋にあってもおかしいものでもなく。
しかし只の親切心からではなく反応を見たいが為であった。
一平太がそれに気づけばの話であるが]
[藤之助に椿油をもらい]
ありがとうございます。
[「何にでも使える」の言葉に続き、ニヤリとする藤之助を見て]
はあ、何にでもですか…って……えっ……はぁ…どうも…
[藤之助がどのような意図で渡したのか理解した一平太は
俯き赤面する]
[何かを手渡す藤之助と、受け取り、俯いて赤面する一平太を見れば、何やら善からぬものを渡したのではないだろうなと、藤之助を横目で見て]
何をしでかしたのだ、お前は……。
[呟いて、溜息をひとつ]
……まぁ、それより。
折角のもてなし、冷めぬうちに頂こう。
[華月斎に赤面するわけを尋ねられると]
え?いや、あ、き、気のせいです、気のせい。
[ひっくり返るような声になりつつもはぐらかす]
ささ、冷めないうちに頂きましょう。
藤之助殿も朧殿もどうぞどうぞ…と言っても華月斎殿が作ってくださったのですが。
[苦笑一つ、藤之助からの贈り物は袂に隠し…食卓につく]
[一平太はどうやら察してくれたらしい、赤い顔に満足げに頷く。
後で朧にその事を教えたらそちらはどういう反応をくれるだろうか]
先輩として、ちょっとな。必要な心得だ。
[これは華月斎に睨まれたとしても良い仕事をしたと食卓について両手を合わせる]
ん、頂きます。
これは皆、華月斎が?
器用なものだな。
[感心しつつ、端を手に取る]
そういえば、やはりアヤカシもメシは食うのか?
昨日は、あまり腹の減った記憶がないのだが。
……って、こら!
行儀の悪い!
[いきなり酒をねだりだす藤之助を、慌てて諫めた]
人間の作法とは違うんだぞ?
[元人間かつそこそこの良家出身とは思えない態度だが、我慢しないのが信条である。
特にアヤカシになってからは顕著に]
違うにしてもだな……!
まったく、遠慮のない奴だ。
[しかし、そういう奔放なところがまた愛おしいと思ってしまうあたり、なかなかに重症だなと自嘲して]
以前から、こんな調子だったのか?
[などと華月斎に訊ねてみる。
なんとなく、どう返されるかは予想できたが]
[酒をねだる藤之助に]
今用意してきますね
[華月斎に徳利とお猪口の場所を聞き、酒を用意する
しばらくして、食卓に戻る]
はいできましたよ
[猪口を渡し、お酌をする 朧にも同じように酒を勧めるだろう]
──すまんな。
[礼を言い、猪口を受け取る。
実のところ、酒は嫌いではない。
しかし強いのかと問われれば、まぁ、人並み程度なのだが]
遠慮した俺を見たら華月斎が倒れると思う。
[酷いと言われるまでも無く自覚を持った上での行動、なんと言われようと自分最優先で生きてきた。
これまでは]
ああ、どうも。
[猪口を受け取り注がれた酒を旨そうに飲む。
自然と料理へも箸が進み、会話も弾む……筈]
──まぁ、承知の上でついてきたのだがな。
[漬物をつまみ代わりに、酒を飲む。
こんなに良い気分で飲む酒は、どれくらい振りだろうか]
……あぁ、すまん。
私達ばかり飲んでいたな。気付かなかった。
[そういえば一平太が酒に手をつけていないことに気付き、徳利を持って勧めてみる]
[朧に酒を勧められるが]
いや、私は…申し訳ないです。
とんでもない下戸なものですから。
[苦笑して酒は辞する]
[徳利を引っ込め]
そうか、残念だな。
[華月斎が飲むようであれば、そちらに注ぎ。
続いて藤之助にも]
呑むのだろう?
[徳利を傾け、訊ねる]
明之進は、定吉定吉は山の神に会えただろうか、と考えた。
2011/02/18(Fri) 01時頃
明之進は、定吉に話の続きを促した。
2011/02/18(Fri) 01時頃
[華月斎の手料理がこんなに美味いとは、と久しぶりに感じる食事を堪能する。
朧に問われれば当然と猪口を差し出し、朧の猪口にも酒を注ぎ返す。
しかしどれだけ飲んでも酔う事はない、鬼の体]
[皆で囲む食卓…久しく味わったことのない雰囲気に
一平太は心弾む
華月斎が二人に泊まっていくように言うと]
そうですよね、酒が入っては足元もおぼつかないでしょうし
泊まっていかれては?
[すでに我が家のように振舞う一平太]
[藤之助の杯に酒を注ぎ、返盃を受け]
そういえば、一平太はやはり華月斎のことを好いているのか?
[程良く酒が回ってきたのか、至極当たり前のことを問いかけた]
俺は酔わないから平気だが、朧はどうだ?
[二人に泊まるよう誘われれば近いとは言え急いで帰る理由もないと頷いて]
良ければそうさせてもらおうかな。
[酒を拭きそうになって、既の所で堪える事に成功した]
[好いているのかという朧の問いに]
それは…もちろん…好いております…
[目の前にいる華月斎を意識してか、最後の方は蚊の鳴くような声になる]
ん?
そうだな、それでも構わんが……。
まぁ、そうだな……考えておこう。
[一平太達の邪魔になりはしないだろうかと、若干躊躇いがちに返し、やや遠くの皿に箸を伸ばそうとしたところで、バランスを崩す。
どうやら、既に酔いは回ってきているようだ]
むぅ……!
[裾が、大きく捲れてしまった。
眉根を寄せ、裾を戻して座り直すが。
もしかしたら、昨夜の名残がはっきりと見てとれたかもしれない]
そうか。
[好いている……との微かな声に、満足げな笑みを浮かべ]
私もだ。
私も、藤之助が愛しくてならない。
[目を細め、藤之助に軽く身を寄せる]
けほ。
[二人の会話が面白すぎて咽そうになる。華月斎はどうだろう?視線を送って様子を窺う。
既に朧は相当酔っている様だ、あの時のように。
ということは、じきに寝落ちてしまうかもしれない。やはり泊めてもらう事を決めて良かった]
ああ、泊まっていけ。
遠慮する事は無い、部屋はいくつか余っているし、布団も足りる。
[賑やかな食卓、美味い酒。
楽しい時を過ごしながら]
…ぐ、っ!?
[朧の問いとそれに対する一平太の答えに、
藤乃助と同じく、咽そうになるのを何とか堪えた。
ちらりと見えた情事の名残と身を寄せる朧の様子を見れば、
頬を染めた困り顔で、どこか空を見ながら、がりと頭を掻く]
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