126 生贄と救済の果てに〜雨尽きぬ廃村・ノア〜
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…誤魔化さないで! ホレーショーさんの怪我なら、 私はちゃんと、自分の目で確認したもの。
…あなたたちが魔物と戦う姿も、その前に見ていたから。 例え左腕の切り傷が別のものであったとしても、 右腕の跡は間違いなく、ヤニクさんのものだわ。
[コリーンの言葉>>35に、そう返事をする。 ヴェラについて触れられるも、それには答えず。 …信じてる。根拠はないけれど、ヴェラのことは信じているから。
ソフィアが『対象』に見える、と言いながら苦笑するコリーンの姿は。 混乱している少女にとって、それはどこか意地悪い笑みにすら感じられた。]
(46) 2013/06/19(Wed) 23時半頃
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[ヤニクの絞りだした言葉>>36は、心の中で否定する。 きっと今のあなたは、正体も現せないほどに弱っている。 …だから、人の姿のままなんだわ、と。]
(47) 2013/06/19(Wed) 23時半頃
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[ぎょろりと、こちらを捉えた視線に気づいた>>44。 左右の目が、別々に。一瞬感じる背中の悪寒]
ふん。視界が広いな。器用な目だ。
[いや、正確には、悪寒が走ったのは……その次の行動か]
はっ。ははっ……。
[氷の蜥蜴が、立ち上がる。冷たい体が急速に近づく。 背面を狙って落下していた体に、重たい衝撃に襲われた。 掴まれているのは、自らの足>>45。鉤爪の喰い込む痛みが走る。 次の瞬間、圧力と共に、感じたことのない浮遊感が……]
お前……ご自慢の、体だな。
(48) 2013/06/19(Wed) 23時半頃
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ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!
[冷たい雨が降りしきるぬかるみへ、背面から叩きつけられた。 飛び散る泥混じりの赤いしぶき。 感じるは、雷《イカズチ》に撃たれた時とは異なる、ひどく直接的な衝撃と痛みか。 視界が一瞬真っ白になり、呼吸が詰まり、息ができない。
足は、まだ鉤爪が捉えているのかどうか。 それは、一時的なものだったのかもしれないが、それすらも、感覚を失った今は分からなかった]*
(49) 2013/06/19(Wed) 23時半頃
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[しかし、『どいて?』とかけられた声には、コリーンを睨みながらも、 右横ーーコリーン達の左手ーーに数歩移動し、素直に従う。]
[……"ふり"、をした。]
[敵の利き手の反対側後方へ。 ブーツの力を利用して、"飛ぶ"。
着地と共にくるりと方向転換をすると、 目の前のヤニクに向けて、真っ直ぐレイピアを突き出す。]
[その切っ先が何かを貫く手応えをたしかに感じて。 ブーツを使って、バックステップで大きく距離を取る。
レイピアの傷がどれ程のものだったかはわからない。 ソフィアはその結末を見守ることはせず、身を翻して背後の森へと消えた。]**
(50) 2013/06/20(Thu) 00時頃
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ホレーショーの傷は、確認したのね。 それで、彼が『対象』である可能性は考えないの?
[『もっと焦げてる』>>38には、確かにと。 こんな状況なのに、不覚にも笑いが零れてしまう。]
人は、相手の全てなんて、知らないのに。 『信じる』事は、時に。 隠された本当の心を、真実を、探そうとしない事。 『疑う』事は、時に。 本当の心を、真実を知りたいと、知ろうとする事。 ……私は、そう思ってるわ。
(51) 2013/06/20(Thu) 00時頃
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店番 ソフィアは、メモを貼った。
2013/06/20(Thu) 00時頃
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[鉤爪はしっかりとヴェラの脚を捕えたようだった。 地面に叩き付けられて、上がった悲鳴>>49を確認すると 離すものかと脚を掴んだ手に更に力を込める。 鉤爪だけでは無い、直接握る事により 全身に纏う凍気が直接身体を侵していくが、 ヴェラに何処まで通用するのか]
ヒュンッッ……
[ぎょろりと動いた片目が遺骸に纏わりつこうとする 魔物を捕え、同時に尾が雑魚を吹き飛ばした。
そしてそのまま氷の刃を纏ったまま、 地面のヴェラへと振り下ろす]
(52) 2013/06/20(Thu) 00時頃
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[感情を不要だと彼女が思うのは。 彼女が抱いた躊躇いと迷いと
喪失感の所為だ。
感情がなければ、其れを感じることは 二度とないはずだと。 彼女はそう思っていたのだから。]
(+11) 2013/06/20(Thu) 00時頃
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[森の奥へと駆けながら。
頭の中が、ぐるぐるする。 こだまするコリーンの言葉。>>51]
教えて…何が正しいの…? 誰を、信じたらいいの…?
ねぇ、答えてよ… 誰か…ホレーショーさん…どこにいるの…?**
(53) 2013/06/20(Thu) 00時頃
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[昔話には、続きがある。 そう、彼女の左目が光を失ってからの話。]
(+12) 2013/06/20(Thu) 00時頃
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[彼女は代償によって、見える世界が狭くなった。 相棒は、彼女の目となることを望んだ。
音で状況を見ることに、彼女が馴れるまでの間 彼女を助けた。 尤も、彼女は必要以上に相棒を頼ることはなかったが。
彼女の努力によって、彼女は目を取り戻す。 音という、新たな目だ。]
(+13) 2013/06/20(Thu) 00時頃
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[初めは簡単な要請からこなして行った。 そして、段々と元のような要請を 相棒と二人でこなすようになる。
そして。 ――あの日も、雨が降っていた。]
(+14) 2013/06/20(Thu) 00時頃
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[その要請を受けた日。 この村の雨とは違う、通常の雨が降っていた。 雨音が彼女にとって問題になることはない。
初めは、問題なく攻撃を仕掛けていた。 彼女が遠距離から狙い、相棒が切り掛かる。
丁度、ホレーショーと共闘した時と同じだ。 二人は、問題なく倒せると思っていた。
追い詰められた魔物が、攻撃パターンを変えるまでは。]
(+15) 2013/06/20(Thu) 00時頃
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[突然の咆哮。 音の攻撃。 その衝撃波で、彼女と相棒は吹き飛んだ。
素早く体制を整えた相棒が、見た物は。 彼女へと飛ぶ、魔物と 音の攻撃によって、『見えなく』なった彼女の姿。]
(+16) 2013/06/20(Thu) 00時頃
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[相棒は、雷の姿となり 魔物と彼女の間へと飛び込んだ。
彼女が受けるはずだった攻撃が直撃し、 相棒は致命傷を負った。
己の所為で彼女が代償を負い その為に危ない目に合うなど、 相棒には耐えられなかったのだ。
それ以前に、彼女の為ならば死も厭わなかった。 魔法使いである前に、相棒、だったから。]
(+17) 2013/06/20(Thu) 00時頃
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[しかし、彼女は再び相棒を救済しようとした。 相棒は最期の力を振り絞り、叫んだ。
生贄にしろ
と。 彼女が再び救済をすれば また代償によって何を失うのか分からなかったからだ。
その叫びに、彼女は涙を零した。 綺麗な、涙だった。
そして。 彼女は相棒を『生贄』にし 強力な生贄魔法をもって魔物を倒した。]
(+18) 2013/06/20(Thu) 00時頃
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[相棒の肉体は消え去った。 残されたローブを抱き締め、彼女は泣いた。 相棒の名を、叫びながら。
雨に濡れた彼女の髪が、 乱れていたことを私は今でも覚えている。]
(+19) 2013/06/20(Thu) 00時頃
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[彼女の、相棒の名はセシル。
――……私の、名だ。]
(+20) 2013/06/20(Thu) 00時頃
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[それから彼女は、残された私のローブを羽織り 何事もなかったように、魔法使いを続けた。
あれから何年が経ったか。 私は彼女の右腕の中で、彼女を見守っていた。]
(+21) 2013/06/20(Thu) 00時頃
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[――……妙に、昔のことを思い出す。 彼女の魂がその體から離れ 私も、彼女の右腕から離れたからだろうか。
彼女の魂は既にヴェラの右腕に宿っているのだろう。 ならば、私も其処へ行くのだ。
私がまだ其処に居なかったのは、 彼女への執着のようなっものだ。
しかし、彼女の身体が霧散した今、 私も其処へ行く。
それは魔法使いの理だからではなく。]
(+22) 2013/06/20(Thu) 00時頃
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[もし、狼の姿であったなら。 掴まれた足から伝わる冷気>>52は、ある程度緩和すること>>23ができたのかもしれない。 しかし、今はただの人の身。 動けぬ体にピキリ、ピキリと、足から這いあがってくる凍結の音。 恐らくは、表層。完全に凍りついているわけではないだろう]
……ぐっ。
[魔物を尾で払う姿に、隙あらばと思えども、おそらく片目はヴェラを捉えたまま。 いや、例えそうでなかったとしても、今、動くことは叶わない。 振り下ろされる、刃の尾。
裂かれ、叩き砕かれる、我が身のイメージが一瞬脳内へと過る]
(54) 2013/06/20(Thu) 00時半頃
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[彼女がイアンの攻撃を受け、 魔法使いの生贄になることを願った理由。 それは――彼女自身が語るはずだ。 彼女の言葉で。
代わりに、私は少し眠ることにしよう。 彼女の魂の傍で。*]
(+23) 2013/06/20(Thu) 00時半頃
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ぬぁぅっ!!
[精一杯の咆哮をあげ、咄嗟に上へと突き出したのは、自らの左手。 刃を纏った氷の尾が、手のひらから手首までへと深々と突きささる。 おそらく、そのまま手が落ちなかったのは、同時に『凍結』により補助されていたためか。
いや……ヴェラの細い左手一本で、巨大な尾が防げるはずがない]
……っ
[左手をそのまま叩き折るように、氷の尾がヴェラの胸を押しつぶした。 肉体を庇った左手が、今どうなっているのかは分からない。 ただ、勢いのない血反吐を吐きながらも、斧をしのぐだろうその一撃で致命傷を免れたのは、犠牲にした左手のおかげか。 おそらくは、胸骨も幾本か叩き折られたことだろう。
薄れる意識の中。ヴェラは、体を潰す分厚い尻尾の隙間から、震える右手で白狼の毛皮に触れようとする。 たった一つ、唯一の供物に触れる得ることができるとしたら、おそらく、対峙した魔物の次の一手の時]*
(55) 2013/06/20(Thu) 00時半頃
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[背後の森へと、姿を消したソフィア。>>50 ヤニクを傷つけた事に、酷く苛立ちを感じながらも。]
……とにかく、雨の当たらない所に移動しましょう。 こんな所に居たら、死んじゃう。
[そう言って、ヤニクの腕を肩にかけ、自身の腕を彼の腰に回して支えようと。]
貴方は、隠れて休んでいるといいわ。 私は、アイツを探しに行く。
[そう言っても、彼がそれを望まないならば。 彼の意思を尊重するだろうけど。]
(56) 2013/06/20(Thu) 00時半頃
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[纏う凍気は雨粒程度なら瞬時に凍らせるが、 血潮の流れる人の体内、深部まで固めるほどの強さは無い>>54 だが流石に雨に打たれた表面は水気と共に凍りつくだろう。
振り降ろした尾は遮る左腕>>55を感じながらも 勢いそのまま胸まで叩く。
多少は勢いが削げたものの、手応えはしっかり感じた。
だから脚を掴んだ手を離したのではない。 凍気に塗れた脚の温度が下がったから、 それを目標と認識しなくなったのだ]
(57) 2013/06/20(Thu) 00時半頃
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[動く手が何に触れようとしているのかは判らない。 だからこそ、そのまま胸を押さえていた尾を離し、 今度こそトドメを刺そうと、まだ紅く色づいた中心へと 大きく振り下ろした]
(58) 2013/06/20(Thu) 00時半頃
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[―何やってんだよ。 下級の魔物なんか放っておけばいい。 あんたは一人なのに。
ホレーショーが戦闘中に、自分達の躯に群がろうとする魔物を追い払っているのに気付く。 目の前の戦いに集中しろとも、ヴェラを逃がしてやれとも、自分は言えなかった。]
あ…っ…。
[>>49ホレーショーの鉤爪はヴェラの足に食い込んでしかと捉え、彼の身体を地面に叩きつける。 直接触れる事で魔物の纏う冷気は、人の姿のヴェラに伝わっているだろう。 感覚は繋がっていないから、それがどれ程のものかは分からないが。
>>52やがて氷纏う尾がヴェラに振り下ろされ、突き出した左手で防ぎきれずに彼の胸に至れば。 既に肉体を失って感じない筈の胸の痛みに顔を歪めた。]
(+24) 2013/06/20(Thu) 00時半頃
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[ねぇ。ホレーショー。 私は、貴方を『対象』の疑いから外した事はないの。 そうであって欲しくないと、願ってはいたけれど。]
[『ツェリさんが対象じゃない保証はないけど。 それでも心配だと思うなら。 力になれると……なりたいと思うのなら』]
[それは、いつかソフィアに言った言葉>>2:79。 ……本当はね。私自身の事だったのよ。]
[私は、貴方が『対象』だったとしても――……。]
(59) 2013/06/20(Thu) 00時半頃
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[凍りついた足。それは凍結し、感覚は失えど、まだ捨て去るほどのものではない>>57。 潰れた左手は捨て、魔法発動のトリガーとなる、右手に神経を集中する。 叶うなら、裂かれた胸の深さを手で触れてはかりたい衝動に駆られるも。 今は、そんなことをしている場合ではない。
次の、攻撃が。再び降り上がる尾……>>58。
その、胸への圧力が消えた瞬間を狙って、白狼の毛皮を発動させた。 一匹の狼となり、狙うは距離を測ること。 人のサイズからさらに小さな狼のサイズと変化した足が、鉤爪をするりと抜けた。
左の前足と、一方の後ろ足は使えない。 だから残る2本を駆使して飛び、氷の蜥蜴から距離を……]
(60) 2013/06/20(Thu) 00時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2013/06/20(Thu) 00時半頃
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[べしゃり、と倒れ伏したすぐ脇に、重々しい振動と共に、巨大な尾が叩き下ろされた。 ヴェラは、すでに狼の姿を維持していない。 肉体の限界か、狼でいられたのはほんの一瞬の出来事のこと。 叩き落された尾の傍で、右手と片足を駆使して旋回し、氷の魔物と向かい合った]
……負けん、ぞ。
[ぬかるみに這ったままの、弱い人間の姿のままで、魔物を見上げて言い放つ。 掠れた声。 ヴェラの胸にある思いは一つ。 ここで負けたら、潰えたら。 群の仲間に、引き継いだ右手に宿った魂たち>>3:108に、合わせる顔がない]
私、は……強い。だからお前を倒……し、て。
(61) 2013/06/20(Thu) 00時半頃
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