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【人】 綿津見教会 マナ[目の前の網の上には肉、野菜、魚介が並べられ、煙がもくもくと上がっている。 (137) 2019/09/09(Mon) 23時頃 |
[いまは、8月のあたしも、9月1日のあたしも、次の9月1日の繰り返しのことを考えない。
あたしという人生が形成したあたしは、胸の奥がきゅっと痛むのを我慢してメッセージを打っている。
どんな顔をしてスマホに顔を向けていたかもわからない。
いつもそうだ。秋山先輩と話す時、あたしはいつも自分がどんな顔をしているかわからず――けれど、9月1日のあたしは、そんなことでどろどろの水たまりや、川を泳ぐ死、あるいはすえた汚泥に姿を変えてしまったりはしなかった。
メッセージを送り終えたあたしは、中学三年生……あと少しで高校生の颯成が、荷物持ちを手伝う姿を少し頼もしく思っている。少しの大人っぽくなってきた気配。未来のことをしらず、来年は、また背がのびるのかもしれないと思っている。]
[そうしているうちに、お誘いは終わったみたいだった。
一発OK、って雰囲気じゃなかったのは、わーきゃー相談しあっていた様子から察してはいた。
だけど、結果がNGで終わらなかったのは、どこか穏やかな調子でいた"こっちの"レイ姉が、ゆっくりと薄くなっていくので勘付いた。]
…………待って!
[思わず呼び止めたけど、届いたろうか。]
[消えかけの8月のあたしは、『宍井澪が幼馴染に待ってと呼び止められた時、きちんとそちらを振り向く女の子』だったから、そういう反応を行っていた。
だって、未練が終わってしまうのだから。
残された時間は僅か。
それでも、たしかに颯成の顔を見ていた。]
[呼び止めて、どうするつもりなんてことはない。
ただ、逝ってしまうというのが見せつけられた気がして、急に不安になったんだと思う。]
……本当に、死んじゃってたんだね。
[未練がなくなって、薄れていく気配を見て、今更の確信を呟く。
なんだか、全然わからない。
泣くべきなのかもしれない。昔から一緒で、よく遊んでて、このループの中でも、ずっと一緒にいたんだ。
いなくなるなんて、考えられない。
けど、目の前のレイ姉は笑っていて、好きな人とのBBQを楽しんでいて、幸せそうにしながら、水もくれて、こっちを気遣ってくれて。
あまりにも、あまりにも生きているようだから、泣けない。]
【人】 CC レイ― 公園 ― (138) 2019/09/09(Mon) 23時半頃 |
……あのさ。
お、俺さぁ。
[だけど、いざ笑って言おうとしたことを言葉に乗せようとすると、声が震えた。
ぐぅっと熱いものが鼻から目から溢れてしまいそうにせり上がってきて、痛いくらいに唇を噛む。
それから、涙が滲んだのをぎゅっと目を閉じて、耐えて、笑った。]
レイ姉がそっちにいるんなら、もし死ぬとしても、怖くないや。
[そうして、笑って、嘘をついた。
眉毛がハの字に下がった、まるで情けない笑顔だったけど。
レイ姉が最後笑っていたから、笑っていたような感じがしたから、笑った。]
【人】 綿津見教会 マナ― 公園 ― (139) 2019/09/09(Mon) 23時半頃 |
[正直、死ぬのなんて怖いに決まってる。
まだ、明日だって来てほしくない。
ただそれでも、ヒナコ先輩の、レイ姉の声が聞こえるのは、自分もその日が近いからなんだとどことなく感じていた。
まったく無関係な、つまらない思い込みかもしれなくとも、死者の声が聞こえるという事実は、病に向かう気持ちを弱らせるのに充分だった。
でも、逃げてるのももうおしまいだ。]
[笑って、笑って、明日を迎える覚悟をするしかない。]
先行ってさ、待っててよ。
レイ姉が待ってると思って、がんばるから、さ。
[ゆっくり、手を振った。
ばいばいのかたちに。]
【人】 双生児 オスカー[ふたり分の焼けた肉を持って、秋山先輩の方へ向かうレイ姉の背中に、かるく手を振って見送った。 (140) 2019/09/09(Mon) 23時半頃 |
【人】 甲板員 デリクソン― 空き地 ― (141) 2019/09/09(Mon) 23時半頃 |
[8月のあたしは、ここまで颯成に「あたしが死んでいるかどうか」を聞かれていなかった。
もしかしたら彼は知りたいと思わなかったのかもしれないし、聞くのが嫌だったのかもしれないし、言い出せなかったのかもしれないし、何か少年なりの理由があって、そうしていたのだろう。
あたしは、――笑っている。
きっと、不明瞭になっていくあたしのことをはっきり見えたわけでは、ないだろう。
あたしが笑顔を選んでいた理由は不明だ。
どこかの機能とまって、それしか選べなかっただけかもしれない。
あたしは、しずかにポタポタと崩れながら颯成の顔を見ている。
弟みたいに思っている君が泣いた時に、あたしは安心させようとするような女の子だったから、そのようにしたほうがいいのかと、様子をうかがっていた。]
[けど、彼は気丈にいうのだ。
「もし、死ぬとしても、怖くないや。」と。
あたしが今日まで欲しがってきた勇気。
年下の男の子は、涙をこらえながら今自分の中からそれを取り出した。あたしはそれで、『安心した』。
小さい頃から遊んでいるから、颯成が転んだ時とか泣いてしまった時なんかに、颯成が勇気を出して頑張れた時は、いつだったて安心したものだから。
同時に、あの子はあたしの死に、意味までお土産に持たせてくれた。]
[あたしは、待っててといわれて、
手を振られていたから]
縺?▽縺倶シ壹♀縺
[いつか会おうね。
そう返事をした。
それはてんで、あぶくにまみれ、聞こえるような声ではなかったのだけど。**]
【人】 師範棋士 千早──公園へ── (142) 2019/09/09(Mon) 23時半頃 |
【人】 甲板員 デリクソンなんだバーベキューやンのか? (143) 2019/09/09(Mon) 23時半頃 |
【人】 師範棋士 千早
(145) 2019/09/09(Mon) 23時半頃 |
【人】 甲板員 デリクソンいやまぁ、これぞ夏の思い出って感じよな。 (146) 2019/09/10(Tue) 00時頃 |
【人】 双生児 オスカー[結果として。 (147) 2019/09/10(Tue) 00時頃 |
[そして、もう幼馴染の気配すら薄れて消えて見えなくなってしまった空を見上げて、心の中で、またね、と言った。]
【人】 甲板員 デリクソンいやいやないない。それは『この夏のやり残しじゃないっしょ。』 (148) 2019/09/10(Tue) 00時頃 |
【人】 双生児 オスカー[見守り終えて気が抜けたのか、橋の上でその場で崩れるように倒れ込んだ。 (154) 2019/09/10(Tue) 00時頃 |
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