レティっ……！

レティーシャ！

　　　　　　　　　　　　　　レティーシャ……！！

[何度も呼ぶ。
　喉の奥から、搾り出すように言葉を重ねた]

[なのに、身体は動かない]

…………っ！！

[覚えてる。
　ナユタを叩き潰したときの感触。
　普段のポリゴンを砕くようなものとは全く違う]

[覚えてる。
　レティーシャに向かって思い切り斧を薙いだときの彼女の表情]

[覚えてる。
　カミジャーに斧を振るったときの抵抗]

[覚えてる。
　ヤニクと戦ったときの高揚。それが終わったときの喪失感]

[身体はもう、自分のものじゃない]

はは

　　　　　　　　　はじめから、俺のものじゃねぇさ

[そう、この魂は仮初の]

[ああこんなに辛いなら、消えればいいのに]

……殺せ、殺せ、殺せ、誰かアレを殺せ

[――　その時、アシモフの呼びかけが聞こえた]

――　アシモフ、やっぱ変身すると可愛くねぇなぁ

[ふと、ずっと前のログからぽつんとポップアップした]

――　悪い、な

[ＨＰが０になった]

[身体の瞳は見開かれたまま]

[それでも魂の瞳はまぶたを閉じた]

[志乃や、カミジャーや、リュヌドの声が浮かんでくる]

ごめんなぁ、志乃

　　　　　負けちゃったよ。せっかく色々応援してくれたのに。
　　　　　――　これじゃ、しかも自滅だぁ

ごめんなぁ、カミジャー

　　　　　　　　なんか、もう、喧嘩ばっかだった
　　　　　　　　まあ、この世界じゃ当たり前なんだろうけど。
　　　　　　　　カミジャーが見てた世界って、
　　　　　　　　アイツが見てたのとやっぱ違うんだろなぁ

リュヌド

　　　　　迷惑かけた、気がする。ごめんなぁ？

[後ろめたいのは]

[さんざん気遣うふりして、多分、いざとなったら素のままでも普通に倒したのではないかって事]

[彼らは、プレゼント持ちは、皆リアルのことなんか覚えてなくて。だから、いざとなったらゲームのキャラだと割り切って裏切るタイミング狙えただろうってこと]

……俺も、一緒だったわ

[それはどこに向けたつぶやきか知らない。夢と現の間で揺れた**]