126 生贄と救済の果てに〜雨尽きぬ廃村・ノア〜
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―そう、コリーンさんまで来たんだ。
後の二人はこっちにはいなさそうだけど。
[魔物達と戦っている姿は見ていたが、それ以降の情報は持っていないから、向こうからの情報提供はありがたい。
ヴェスパタインを失ったヴェラの気持ちを察する事は…やめる。
ツェツィーリヤの事に触れられれば。]
…ややこしそうだな、それ。
上手く出来ると良いけど。
[そういう工作は苦手だが、努力はしてみようと。]
あー。これマズイな。
[コリーンの背後からやって来たヤニクの存在に内心舌打ちする。
まだそれぞれが警戒を解けるわけではないが。
少なくとも今いない者達の方に警戒は強くなるだろう。
ソフィアも警戒対象だろうが、経験の少なさは
誰もが見てわかるからこそ、それ程強くは無いだろう]
ヤニクまで出て来たぞ。
お前が一番怪しまれるかもな。
[名を出さないように気を付けながらも、現実はしっかりと**]
―そうなんだ、ドジったな。
[ツェツィーリヤの様子を窺いながら、相手の言葉に答える。
現実はすとんと胸に落ちた。
あの場にいないのはツェツィリーリヤと自分、そしてソフィアか。
しかし、ソフィアの線は自分が只の魔法使いであれば、考えていないと思う。]
なぁ、ホレーショーさん。
もしうまくいかなかったらさ、俺に全部嫌疑を被せてよ。
…まぁ、一人くらいは連れて行きたいけど。
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―コリーン・ヤニクと共に―
[コリーンが小首を傾げながら尋ねる言葉>>74に、少し狼狽えて]
…私、ですか?
[心のどこかで、コリーンが次の行動を示してくれるのを期待していたのかも知れなかった。 目まぐるしく変化し続ける環境の中で、何が正しいのか、どうしたらいいのか判断できない。]
私…私は… ツェツィーリヤさんを、探しに行こうと思います。 怪我とかしてるかもしれないし、心配、です… ヤニクさん、動けますか?
[薄目を開けた青年にそっと問いかけると、飛び起き直後に蹲るヤニク>>99。 目に見える大きな傷は治療したと思ったが、どうやらまだどこか痛むようだった。 治癒を申し出ようとも思ったが、深刻そうな表情に声をかけ損ね。 彼はヴェスパタインを心配しているようだった>>100。]
(117) 2013/06/16(Sun) 12時頃
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[その後、コリーンから告げられた言葉>>79に、ようやく彼女の言わんとすることを理解する。
――『対象』。
あぁ、さっきの表情は。そういうことだったのかと。 小さく、胸が痛んだ。自分もそういう目で見られているのだろうか。
あの廃屋にいた魔法使いの中に、討伐対象がいる。…本当に?
しかしコリーンがソフィアのことを、他の魔法使いのことをどう思っていたにしろ、 今はソフィアの意思を尊重して、その背を押す言葉をかけてくれた。]
では、コリーンさんとヤニクさんは、ヴェスパタインさんのところに。 私は…最後にツェツィーリヤさんを見かけた小屋の近くまで行って、彼女を探してみようと思います。
(118) 2013/06/16(Sun) 12時頃
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[結局、向かう先は同じ方向だったので途中までは一緒に。 小屋に程近い所で、二人には別れを告げ、朽ち果てた村へと歩を進める。
皆で顔を合わせた廃屋は崩れ果てていたが魔物の群れは既になく、 一人別行動を取ることを心配されれば、ブーツの存在を示して安心させただろう。]
私、戦えないですけど…何かあっても、逃げることはできますから。
[情けない話だけども。そう、小さく笑って。 戦場に慣れていないソフィアは、あまり人の気配に聡くない。 小屋にヴェラとホレーショーがいたことには気付かず、その場を後にした。]
(119) 2013/06/16(Sun) 12時頃
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店番 ソフィアは、メモを貼った。
2013/06/16(Sun) 12時頃
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―ノアの奥へ・ツェツィーリヤを探して―
[地面は魔物の群れにより荒らされ、ツェツィーリヤの足跡などを探すことは困難だった。 しかし、廃屋付近から崩れかけた件の小屋へと向かっていたのだから、村の奥へそのまま移動した可能性が高い。
そう考えて、少女は一人、朽ちた家々を駆け抜ける。]
ツェツィーリヤさん!いますか!?
[崩れかけた村落とはいえ、物影は多い。 途中すれ違うことも考えて、大きくはないが声をかけながらの移動。 魔物を呼び寄せるリスクもあったけれど――それよりもツェツィーリヤを見つけることを優先した。]
(123) 2013/06/16(Sun) 13時頃
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[小走りに、しかし注意深く家屋の間を抜けたと思ったが、 黒いローブの魔法使いを見つけることはできず。
やがて少女は、村の外れの広場に辿り着く。 そこには、祭壇の跡と思しきもの、そして生気のない巨木>>80がひっそりと存在していた。]
ここは――!
[吟遊詩人の語る、ノアの伝承を思い出す。]
(124) 2013/06/16(Sun) 13時頃
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[儀式の行われた場所。 すっと背筋を伝う、冷やりとした感覚。
もう既に誰もいない…祭壇すらも崩れ落ちてしまっているのに、 なんと禍々しい気を放つ場所なのだろう。
――? 誰も、いなくなってしまった、のに…?]
(125) 2013/06/16(Sun) 13時頃
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[ふと疑問が浮かんで。
雨を乞うた村人達。 宙に浮かぶ杯に止まぬ雨を願い、自らの身を代償としてしまった村人達。 雨が降った時、歓声を上げる人は誰ひとりとしていなかったという。
あぁ、だとしたら。 一体誰が、この村の最後を伝えたのだろう。 生き残りがいたのだろうか。 村の記録を記した書物でも残されていたのだろうか。
…今となってはわからない。 背に感じる冷たさは雨だろうか、それとも。]
(126) 2013/06/16(Sun) 13時頃
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[伝承の最後は、村で次の血が流されることを憂う女性を謳っていた。 だからここは、そんな心優しい人の最期の地だとばかり。
村に雨は降ったけれど。 自身のカタチをなくした大勢の村人たちは、 消える瞬間、何を想ったのだろう。
何も感じることなく、雨へと昇華していったのだろうか。 それとも。こんな理不尽な運命を呪ったのだろうか。
この雨は。自然現象を超越する降り止まぬ雨は。 ある意味、人の欲望の行きつく先――『魔物』であるのかもしれない。]
(127) 2013/06/16(Sun) 13時半頃
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……ほんと、お前懐かれてんな。
多分ヴェラがそっち走ってったぞ。
[ランプの伝言の後、呆れたように声を掛ける。
先程の口調だと、ツェツィーリヤはまだ生きているようだった。
まさかソフィアまで向かっているとは知らないが、
厄介だぞと内心愚痴りながらも]
俺は俺のやりたいようにやるだけだ。
[彼の願いには応とも否とも答えなかった]
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[広場にもツェツィーリヤがいないことを確認し、どうしようかと悩む。 この先は村の終わり、再び暗い森が広がっているのみである。 魔物の群れに追われたのだとしても、ツェツィーリヤがわざわざ森へ踏み込んで行ったとは考えづらかった。]
どこかですれ違っちゃったのかな。 どうしよう、戻ろうか…?
[そんな時に。 ヴェスパタインのランプの感覚を察知する。 同時に、先程のコリーンの言葉>>79が脳裏に浮かぶ。 無事に会えたのだろう、そしてこれは、その連絡に違いない。
しかし聞こえてきたのは予想もしなかったヴェラの声で――ヴェスパタインが死んだ、と>>108。]
(134) 2013/06/16(Sun) 16時半頃
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店番 ソフィアは、メモを貼った。
2013/06/16(Sun) 18時頃
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―村の広場にて―
[途切れ途切れの通信はヴェスパタインの死のみを簡潔に伝え、プツリと途切れた。>>108>>134]
死んだ…。ヴェスパタインさんが、死んだ…。
[何故、どうして、一体何が。 ……それとも。 誰、が?]
[考えていても、答えは出ない。 少女は小さく被りを振った。]
誰のことも、疑いたくないよ…
[ぽつりと呟いた言葉は、雨に掻き消された。]
(155) 2013/06/16(Sun) 18時半頃
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[故人を偲んで、空を見上げる。 ヴェスパタインのことをよく知るわけではない。
けれど、アヴァロンに忠誠を誓った日――魔法使いになった日、 内部を案内し、ソフィアに魔法の手解きをしてくれたのは彼だった。
攻撃手段を持たない少女にレイピアを薦めてくれたのも、また。]
[久々の再会のはずだった。 緊張もあったが、少しでも成長したところを見て欲しくて。
だがしかし、思い描いていたような展開はなく。 …まだ、彼の顔も見ていなかったのに。
雨に濡れるのも構わずソフィアはフードを外す。 祭壇の跡、広場の中心に跪き、 泥濘にレイピアの先端を突き立て暫しの黙祷――]
(156) 2013/06/16(Sun) 18時半頃
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[どれほどそうしていただろうか。 それは永遠のようにも、一瞬のようにも感じられ――
――気が付けば、辺りには赤い雨>>150が降っていた。]
[自分と歳の近かったろう『生贄』の少女の、涙。 ソフィアはぼんやりと、空を見上げた。]
泣いてるの…?
[誰にともなく。 それは、ヴェスパタインの死を悼むかのようでいて。 やはり、心優しい人だったのだろうと、そう思うのだった]
(157) 2013/06/16(Sun) 18時半頃
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―広場・ヴェラとの再会―
[直後、背後から聞こえた『くぅん』という声に、びくりと肩が跳ねる。 地面に立てたレイピアを引き抜き、振り向き様に構えたが、
…魔物が、『くぅん』などと鳴くわけもなくて。]
ヴェラさん…!
[見知った白い獣に、剣を収めて走り寄る。]
どこか怪我されてるんです?! 真っ赤…!
[白地に朱は目立つから。 赤い雨の存在も忘れて、咄嗟にそう勘違いしてしまう。]
(158) 2013/06/16(Sun) 18時半頃
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[怪我かという問いに白狼が首を振れば、 ほっと安堵し、思わずぎゅっと抱きつく。 濡れて張り付く毛皮、しかしそこからは温もりが伝わってきて]
(あぁ、大丈夫。この人はまだ、生きてる…)
[先の通信を受けてから、そう時は経っていないように感じたが、 ヴェラがここにいるということは、かなり時間を無駄にしてしまったようだ。
本来の目的を思い出し、狼を腕から開放する。]
(159) 2013/06/16(Sun) 19時頃
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ヴェラさん、ここに来るまでに ツェツィーリヤさんを見ませんでしたか? あの後、魔物の群れが廃屋を襲ってきて。 コリーンさん、ヤニクさんと応戦していたのですが、 彼女だけ一人、はぐれてしまって…。
最後に見た時、廃屋近くの崩れかけた小屋に向かっていたので そこからずっと村の中を探して、ここまで来たのですが…
…いないんです、どこにも。 怪我とかしてないと、いいのだけど。心配で…。
[ヴェラなら何か知っているかもと、そう問いかける。 掻い摘んで話したため、足りない言葉もあったかもしれないが。]
(160) 2013/06/16(Sun) 19時半頃
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店番 ソフィアは、メモを貼った。
2013/06/16(Sun) 19時半頃
…あは、そっかー。
[返すのは乾いた笑い。
回避しようとしたのに向こうが近づいてくるのなら。
彼はあの現場から、何処までを知ったのだろう。
逃げても、自分の匂いを頼りに彼はいずれ自分の元に来るだろう。]
…やっぱ、逃げらんないか。
そっかそっかー。
[覚悟をする。
それは何の覚悟か。]
[どちらとも分からない彼の返事には小さく笑って。
同族とはいえ、ホレーショーの行動に口を挟める関係ではない。]
はいはい。それでいいですよ。
[好きにして、と返しておいた。]
タスケテハヤレナイ
[どれだけ誰かを癒し、助ける力を求めて
魔物や人を喰らい続けてもその力は得られない。
代わりに助けたかった女性の記憶だけが消えていく。
まるで…代償の様に]
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―広場・ヴェラとの再会―
[抱きしめていた腕を解くと、人の姿に戻るヴェラ>>173. ツェツィーリヤを見てはいないと言うものの、その痕跡から怪我はなさそうだと教えてくれた。 2度目の『あいつ』という言葉には、行方の知れない魔法使いの顔を浮かべて推測し]
…イアンさん、ですか?
[そう尋ねて、肯定の返事をもらった。]
(184) 2013/06/16(Sun) 23時頃
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[ツェツィーリヤに治癒は必要なさそうだとわかり安堵するも、 どうやらイアンは血を流していたようで。
少女は、治癒に用いる書物の入ったバッグを、ローブの上からそっと押さえる。 一抹の不安。今回の要請は、常と違って怪我人が多い。 果たしてこの供物は、どこまでもつだろうか…。]
[供物には全て、『限界』がある。 酷使し過ぎればそれは壊れ、二度と使うことはできなくなるだろう。 その消費具合はそれぞれであり、長く使えるものも、そうでないものもある。]
[ソフィアの持つ供物・聖書には、制限が多い。 回復の魔法とは、それだけ強力なものであるから。]
(185) 2013/06/16(Sun) 23時頃
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[まず、風邪などの病気を治すのは不可能であること。
治療可能なのは外因性の傷のみ。 落ちた体力の回復は当然ながらできず、怪我が酷ければ再び動けるようになるのにそれなりの時間がかかることだろう。]
[致命傷は、完全な治癒が難しいこと。
完全に切り離された箇所を元通りに治療することはできない。 切断面の一部が、生命活動を続ける体幹と繋がっていること――その部位が”生きて”いる必要がある。
また、多量に出血した後では、傷を塞いでも回復はほとんど見込めないだろう。]
[そして何より、一番大きな制約は、 ――魔物を生贄とすることで行われる『供物の回復』ができないこと。
羊皮紙を1枚破り取る度、治療する度に、 この書物は目に見えて薄くなり、その終わりを予感させるのだった。]
(186) 2013/06/16(Sun) 23時頃
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[ローブの下の書物は、ソフィアがそれを初めて手にした時よりも遥かに薄く、 200はあっただろうページ数も、既に半分以下となってしまっている。
一回の治療で使用するページが1枚とは限らない。 魔法のヴェールの有効範囲は、決して広くはなかったから。]
[この供物の制約は大切なことだから、誰かに告げておくべきだろうとも思う。 しかし目まぐるしく移ろう事態に、そんな時間はなく。 問題が起きないことを、ただ祈るのみ…]**
(187) 2013/06/16(Sun) 23時頃
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店番 ソフィアは、メモを貼った。
2013/06/16(Sun) 23時頃
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