[自分の指先を見て動きを止めた。
整えた爪をコーティングする目的の派手過ぎないネイル。
人差し指の一本にだけ夏呼西高の野球部のユニフォームや応援の旗に使われている色が塗られていた。
安価だけど色数が豊富な女子高生御用達のシリーズの中の一色がちょうどしっくり来るイメージカラーで、ちょっと渋めだけど透明感があってお気に入りだった。
この夏はグループの女子みんなでお揃いにしようねってエミちゃんが言ったから、負け試合の後もなんとなくこの色を塗り続けてたけど──
その指に気付いたら出口のシャツに触れる寸前で気持ちがしぼんでしまった。
酷くしょんぼりしてしまって、スン、と鼻を啜ってまた遅れがちに二人の後を追う。
(>>226)共通点には、ああうん……と曖昧に相槌なんだか肯定なんだかわからないが一応返した。うん、確かに。]
(233) 2019/09/03(Tue) 21時半頃