[一か月遅れの登校。
受験を控えた3年の大事な時期、勉強の遅れを取り戻すためと、各教科の先生方が補習をしてくれる事になったので、こうして登校しているわけだけど。
進級して初めて入った教室、自分の机の上には、目印かの様に、体操服袋や何かのアイドルが載ってる雑誌(俺の趣味だと思われるからやめろ)とか、挙句ゴミかと思われる様なものまで大量の荷物が積まれていて。
知った仲というやつで、何の遠慮も無く、荷物置き場にしているのだろう。
ならばこちらも遠慮なく、体操服袋を枕にして、ぼんやり窓の外を眺める。
頭の重みで中身がくしゃくしゃになったり、ぺったんこになっても置いたバカ(友)が悪い。]
……最後の桜、見れなかったな。
[桜の花が好きだ。特に、夜闇にひらひらと舞う、薄紅色の花びらが。
小学生から毎年、始まりの日に迎えてくれた桜の木。
部活帰り、宵闇の中、春風に舞う薄紅色の花弁。
今年が最後だったのに。
窓から見える、今は葉桜になったグラウンドの桜の木を眺めながら、小さく呟いた。*]
(43) 2020/05/18(Mon) 20時半頃