──回想:『it』(其れ)の名は──
<箱庭の剪定>…………行き過ぎた繁栄を亡ぼす事による、強制的な文明の停滞〈-DouMoRi or SIMCITY-〉。
これこそが造物主アウリュオーネより『it』(其れ)に与えられた使命にして本能であり 幾千の年月の間、『it』(其れ)は己の存在を全うし続けてきた。
[淫蕩に耽り、その身に余る堕落の花を芽吹かせた都市を 天より業火で融かし尽くした。後には死の灰と塩の柱だけが残された。]
[傲り高ぶり、天に昇り詰めんと築き上げられた土瀝青の塔へと 雷霆を轟かし突き崩した。生き残った人間種は散り散りになり、何れ異なる民族として方々に棲まうようになった。]
[街を壊し、文化を無に帰し、人を間引く。
幾星霜幾千年と同じ事を繰り返していく内、人間達は『it』(其れ)に名前を付け出す。
或る国では 人間では抗う事も不可能な存在として、≪天災≫-ナンカ・スゴイ・ャバィノ-と。
或る国では 此れが通った後には如何なる地であろうとタケシの花が咲き乱れる事から、武星荒御魂主≪タッケシヌシ≫と。
そして或る国では─────────漆炎より舞い戻りし堕ちた魔竜≪ファブニール・ヒュドラ≫と。]
(27) 2016/12/06(Tue) 02時頃