……夕が……
[談話室で立ち尽くしたまま、ぼそりと呟いた。
恵が人狼だったかどうかなんて分からない。
ただ、狼が居るというのなら、別に彼女でもおかしくない、程度には思っていた。
人に紛れ人を喰らう人狼。目立った行動をするよりは、昼間は大人しく潜んで機会を待ったほうが良いだろうから。
けれど事実がどうであったとして、確証もないのに自分はその命を断てただろうか。
否、きっと躊躇っただろう。
昼間、「人狼を殺す手伝いをして欲しい」「殺す前に殺すしかない」と持ちかけた夕顔。宣言通り、彼女はそれを細い腕で実行してのけたのだ。
守りたいものを守る為に人狼を狩る。
自分は彼女の言葉に頷いた。でも、そんなの上辺だけだ。
彼女が言っていたのはきっと『こういうこと』なのだろう――
改めて彼女の言葉を突きつけられた気がして、ぞっとする。]
(22) 2014/06/03(Tue) 15時半頃