35 WWV 感染拡大
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痛みの無い生はないのよ。きっと。
[触れていた手が握られる。優しい笑みを向けた。]
何もない、なんて死ぬまで分からなかったことよね。
ここを、生きて出られたとしても……同じだったかもしれないわ。
[《外》に出たことのない自分は、この研究所が世界だった。]
それでもね。私は、貴女たちは生きて出て欲しいと思ってたの。
せめて、生きたいと願う貴女たちだけは。
[無理だとは分かっていた。それでも。]
痛みのない生……。
[記憶にある限り、自分の居場所は病院の中だけで、常に何らかの病と闘いながら生きていた。
自分の境遇を呪い、普通の生とは、こんなにも苦しくはないのだろうと夢見ていた。
けれど――それは間違いだったのだろうか]
レティーシャ、……あなた。
[彼女の願いを聞いて、瞳を見開く]
そう、だったの……?
あなた、あたしたちの事を、思って。
[肩が震える。
レティーシャの自分より小さな体を抱き締めた]
ごめんなさい。
あたし……あなたの事、見下してた。
あたしなんか、自分の事しか考えていなかったのに。
[自分よりも年下の少女に抱きしめられる。
笑みを浮かべたまま、その背に手を回した。]
謝らないで良いのよ。
本当はね、言う心算なかったの。
皆、自分の事だけ考えているの。それで良いのよ。
ただ、私は貴女たちよりも年上だから。
年上ぶりたい時もあるのよ。それだけよ。
[ヨーランダが落ち着くまで、何度もその背を優しく撫ぜた。]
……でも、
こんなくだらなくて、つまらない人生だったけど、
誰かのために生きられたら、何か変わっていたのかなって……思って……
[自分の背を撫でる優しい手の感触。
肩に顔を埋めるようにして、瞳から溢れる感情を零し続ける。
そうしながら、ああ涙を流すなんて随分と久しぶりだと、心の何処かで考えていた**]
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[プリシラが崩れ落ちる。]
……効いたようね。
[ふるふる。手足が震える。息を吐き出す。 プリシラは、喉を掻き毟るように悶え苦しみだしている。]
(83) 2010/11/02(Tue) 01時半頃
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[立ち上がると体が痛んだ。 もう一組の争いに目をやり。 苦しみもがくプリシラの身体を無言で踏むつけた。]
……気安く触らないで。 薬の効果実験の為にあなたと寝たけど、馴れ馴れしく触れるのを許した覚えはない。
…私の足元にも及ばないくせに。 媚びてへつらって要領よく生きている奴ら。 悪口を言うしか脳のない馬鹿な奴ら。 甘い言葉で私の心を掻き乱すだけ掻き乱して裏切る奴ら。 私を追い詰め恐怖させ哂っている奴ら。
あなたを見ていると思い出してイライラするのよ!
[ぐり。踏みつける足に力を込める。]
(84) 2010/11/02(Tue) 01時半頃
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ああ、もうっ。 本当にっ、どうしてっ、ああ…。
[ユリシーズ博士と名無しと争いに気を向けなければ。 冷静な部分はそう言うのに、暴走を始めた感情は止めようが無く。]
なんでっ。なんで。 薬飲まないと。あああ。
[床に散らばった多種の薬。見つからない。 がん。腕を力の限り壁に打ち付ける。 じんと痺れる感覚。突き飛ばされた時以上の痛み。 痛みは私を少しだけ感情の渦から引き戻してくれる。]
(85) 2010/11/02(Tue) 01時半頃
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大ッ嫌いよっ!
[ぐしゃり。やり場のない感情のまま。 プリシラの懐から転げ落ちた小瓶を踏み潰す。**]
(86) 2010/11/02(Tue) 01時半頃
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読書家 ケイトは、メモを貼った。
2010/11/02(Tue) 01時半頃
[肩が濡れるような感触。]
その言葉、もっと早く聞きたかったわ。
貴女が生きている時に。
[そうしたら、きっと貴女の世界も変わっていたかもしれないのに。
口には出さずに。慈しむような笑みで。]
貴女のこと思っていてくれた人……いたのにね……きっと。
[背を撫ぜながら、小さく呟いた。**]
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