35 WWV 感染拡大
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[静かに口ずさみながら、見守るように。]
―回想 空き研究室―
[体当たりして来た男もろとも、床に転がり落ちる。
狂った平衡感覚でも立ち上がろうと宙を掻いた腕が、
どさりと床に縫い止められた]
誰、がっ
[相手の脇腹からも出血が見止められた。
それも少量ではない、じわじわと衣服に広がっている。
手負いのオカマ相手ならまだ逃げられる筈だと。
もがけば踏み付ける足に体重が掛けられ、
みしりと腕が軋んだ。
――コイツどういう腕力してやがる。
思うが早いか、刃が降って来る]
しあわせ……か。
[化物のような姿の少女の言葉に、少しだけ寂しげな顔で目を細める。
存在しないはずの心臓がずきりと痛んだ]
[ざくりと突き立つナイフはそのまま、
引き抜かれずに――ぎちりと捻られた]
が……っは、ぁ、ぐぅッ
[がくんと身体が跳ねる。歯を食い縛って、声は、耐えた。
相手の顔を睨み上げる事も止めない。
抵抗心を失わないこちらの様に嗜虐心を露わに、
次に男が取り出すのは針と呼ぶには長大なピック。
反応を愉しむように、キキ、と浅く皮膚を引っ掻いて、
それが肩の傷口を更に抉った]
ぎ、ぃッ ぁあああ!!!
[組み敷いた下で、絶叫し暴れる玩具を見下ろす眼は、
酷く陶然として。
両手の刃物と針が交互に、同時に、何度も何度も、
血肉を削り落とす]
ああああッ、クソっ、この……っの野郎、
――は、ッ!
[幾度目か。
振り上げられた切先に一瞬向けた視線は、
それはもう、本能的な恐怖だ。
目敏くその陰を見出した男の表情がぱぁっと輝いた]
……止めッぐっあッああああああ――――!!
[苦痛は終わらないような気さえした。
切り裂かれる灼熱感に寒気が取って代わり、
聞き取れる言葉も曖昧になって行った。
――ひゅぅ
ごり、と肋骨を擦るナイフに声は上がらない。
背筋はかくりと震えるような反応を残した]
――、…………
[黒の両目はもう霞んで役に立たない筈、それでも。
獰猛な獣のように、
今にも敵の喉笛を食い千切らんばかりに、
小さく光る殺意の先端を、
血に狂い切った鮮烈な笑顔を、
確かに捉えたのだ]
[ ―――― 殺してやるッ !!! ]
[ ドスン**]
|
幸せに? ……足りない。 何が足りないのだろうかね。
[歪み切ったゾーイの顔を見据えながら、呟く。ゾーイから遠ざかろうとするケイトを見て、首を傾ける。男は下がろうととも、逆に向かっていこうともしないまま、佇んで]
……クク。
[ただ、笑い声を零す]
(52) 2010/11/03(Wed) 01時半頃
|
―現在―
……――
[意識は永遠に闇に呑まれるかと思いきや。
笑い狂う連中を遠目に眺めている自分に気が付いた]
……何だ、こりゃあ
[くしゃりと顔を顰める。
散々自分を甚振り尽くした変態野郎が、
本人の目玉を手に高笑いを上げている。
心の底から気持ち悪い、と思った]
――っ!?
[少年は霧散し、勢いを殺しきれず、その場でたたらを踏む]
今のは…なんだったんだい…
[呆然と呟きつつも、プリシラの声が聞こえると、そちらに振り向き]
あんたに何が分かる。あの子だって一緒に居たいと思ってるに決まってるだろう。
[盲信。疑問が沸く度に押さえつけてきた言葉を呟くと、ここには用はないと。ケイトの研究室を後にした。**]
さー?
しらねェよ。
[幼少期の自分が現れるのが何故かなんて、自分でもわからないことに答えようがなかった。]
………しらねぇよ。しりたくもねェ
[何が分かる。その言葉には、ただそれだけ呟いた**]
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