186 夏なんです【Sheeps' monologue project】
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時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
アシモフが無残な姿で発見された。
噂は現実だった。血塗られた定めに従う魔物“人狼”は、確かにこの中にいるのだ。
非力な人間が人狼に対抗するため、村人たちは一つのルールを定めた。投票により怪しい者を処刑していこうと。罪のない者を処刑してしまう事もあるだろうが、それも村のためにはやむを得ないと……。
現在の生存者は、コリーン、ナユタ、アリス、ススム、サイラス、夕顔の6名。
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それからの日々は、何事もなかったかのように過ぎていった。 合わなかった視線も、次第に合うようになり 減っていた会話も以前と同じくらいには増えた。
タカは何かを感じたようで、私とカズに、それぞれなにかあったのか、と訊いてきたが、 私は首を横に振ったし、多分だがカズもそうしたのだろう、 深くは追求してこなかった。
変わったことといえば。 一人になると、あの日のことを考えることになったことだ。
(@0) 2014/07/23(Wed) 14時頃
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好きだ、と言われた。 忘れてくれ、とも。 そう言われても、忘れられるはずもなく、表面上はなかったように過ごしていた。
好きか嫌いか、で言われたら、彼のことは間違いなく好きだ。 ただ、それは多分、幼馴染として、友人としてであって、 それ以上ではない、と思う。
でも、本当にそうなのだろうか。 三人でいることが心地いいから、それを壊したくなくて、 そういう気持ちにフタをしてきただけなのか。 好きだと言われたから意識しているだけなのか。
ぐるぐる、ぐるぐる。 気がつけば、季節は夜空から夏の大三角が消える頃になっていた。
(@1) 2014/07/23(Wed) 14時半頃
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/* ………(入れたかった一文を入れ忘れたまま話を進めていたことに気づいた顔)
(-0) 2014/07/23(Wed) 14時半頃
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/* 考える
おうふすっかり忘れてたぜ
(-1) 2014/07/23(Wed) 14時半頃
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天体観測から、ほぼ1ヶ月がたった。 夏祭りやら、花火大会やらと、大きなイベントを三人で楽しみ、 そして夏休み最終日、三人集まって溜まっている宿題を片付けている。
といっても、タカは完全に終えていたし、私も苦手なものが残っていた程度で、 主な目的はカズの終わらない宿題を手伝うことだった。 毎年あまり変わらない光景に笑いながら、最後の追い込みをかけていた。
「なんでお前らは終わってるんだよ…」 「終わってない和樹のほうがなんで、だよ」 「ちくしょーーー!」
飽きた、とちゃぶ台の上にシャープペンシルをころがすカズ。 それを見ながら、休憩にするか、とタカが笑った。
(@2) 2014/07/23(Wed) 14時半頃
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「今年は、いろいろやったからなー」
過ごしてきた夏を思い出すように、タカの部屋から見える空を眺める。 とっぷりと日は暮れ、あの日とは違う表情をした星空が広がっている。
「また……、夏に三人で、やりてえな。 天体観測」
ぽつ、とカズが呟く。
(@3) 2014/07/23(Wed) 14時半頃
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「また、やればいいじゃないか。 秋でも、冬でも」 「いや、夏がいい。夏の空が好きだから」 「ベガ見つけられなかったのに?」 「うるせぇ、たまたまだ、たまたま」
なんだよー、と軽く拳が飛んでくる。 その様子を見ながら、タカがこらえきれないというようにぷっと吹き出した。
「ああ、また来年、三人で行こうな」
その来年が来ないことなど、思いもしないまま。 約束だ、と無邪気に笑う幼馴染を、笑いながら眺めていた。
(@4) 2014/07/23(Wed) 14時半頃
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/* 10年前の夏、おわり。
(-2) 2014/07/23(Wed) 14時半頃
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/* あとはもう少し書いて、エピで10年後に飛べそうである
(-3) 2014/07/23(Wed) 14時半頃
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『いや、プリンは俺じゃ、ねえし。アレンティじゃねえの』
[ミナミは憤慨したように、言った。 どうやら嘘ではないらしい。こいつは嘘をつくのが極端に下手なのだ。]
あいつはプリンなんて食わねえだろ。
[フロアは五人一組。そのうちの一人、アレンティ・ノアは最先端のバイオジーンだ。オデッセイきってのビューティ・アンド・ワイズとして名を馳せる彼は、極度に燃費が良い。数ヶ月もの間食事を取らなくても生きていける。その代償に、摂取できるのは特別製の錠剤だけ。それがかえって彼の存在を伝説的なものにしている。まあ、僕らにとっては普通のルームメイト、なのだが。]
(0) 2014/07/23(Wed) 15時頃
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『ああ、そっか。うーん。じゃ、誰だ』
[残る二人、ミカとステフのケルソ兄弟は一週間前から探査船実習で不在だ。ということは、容疑者不在。これはちょっとしたミステリー…いや、むしろオカルトじみている。]
(1) 2014/07/23(Wed) 15時頃
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[不意に、レプリカ・セミの合唱がやんだ。辺りは静寂。
遠くにアレンティの赤い日傘が見えた。 彼岸花を思わせる美しい姿に、そこかしこからため息が聞こえる。 僕らは手を振り、駆け寄った。彼は静かに微笑む。 そうだ、とりあえず念のため、聞いとこう。]
なあー、俺のプリン 、知らねえ?
[僕らの"夏"は、こうして始まった。]
(2) 2014/07/23(Wed) 15時頃
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[あの大空に夢を描くの。 昔のように、一緒に大きすぎる夢を描こう]
"ただ地平線の彼方、その先にまで広がる空を指さして私たちは笑っていました。 あれは犬の顔みたいな形をしてるよ。 それじゃああっちの雲は"ぷりん"みたい!
遠い昔の 笑顔を見よう。"
(3) 2014/07/23(Wed) 15時半頃
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白い雲が流れてく。 青い空が消えてどこかへ去っていく。
そうして現れる夜の時間。
私たちの空中散歩は、そこで終わる
(4) 2014/07/23(Wed) 15時半頃
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/* 「あっ、ゴメン僕が食べちゃった」
「「ええええええーーー!?」」
いや他のもの食べられないわけじゃないんだよね(てへぺろ
(-4) 2014/07/23(Wed) 16時頃
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/* みたいなな
(-5) 2014/07/23(Wed) 16時頃
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[夜空の星は、大人の時にも子供の時にも等しく特別だった。 ただ、大人になって眺めた空の隣にはあの日の特別はいない。
得意満面に笑って、 お姉さんぶって、 星の名前や色々なものを教えてくれた、あの子はいない]
(5) 2014/07/23(Wed) 16時半頃
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[僕の母は伯父伯母の中でも末っ子で、僕はいわば末っ子の末っ子だった。 親戚内で歳の近い子は一人だけ。あの町では、あの子と二人で遊ぶ以外に退屈をしのぐ方法がなかった。 一つしか違わないのに子供扱いしてくることが少し悔しくはあったけれど、あの子にしてみれば唯一の年下である僕のお姉さん面をするのが楽しかったのだろう]
(6) 2014/07/23(Wed) 17時頃
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[何となく親戚と疎遠になってしまってからは、あの子とも会っていない。 一度だけ入籍を知らせる葉書が届いたけれど、写真の中の女性があの子だという実感が湧かなかった。 子供の時の姿ばかり、声ばかりが印象強く、僕の中のあの子の時は止まったままだ。 あの町で僕は、もう何処にもいない「あの子」を探していたのかもしれない]
(7) 2014/07/23(Wed) 17時頃
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[あの子が特に好きだったわけでも、嫌いだったわけでもないけれど、特別だった。 夏の特別だった]
(8) 2014/07/23(Wed) 17時頃
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「宇宙船に乗って、あの星の向こうまで行けたらいいのにね」
夜の彼方を眺めて 君は言う
「きっと面白いものがいっぱいあるよ」
此方を振り返らずに 君は言う
「こんな退屈な町なんて……」
その声は 聞こえない
ただ子供っぽい夢と 見合わない憂いだけ ちらりと見えた横顔が 一つ 大人に見えた
(9) 2014/07/23(Wed) 17時頃
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/* 多分表に上手く乗せられないので、裏設定。 子供の時、二人が見ていたアニメ。タイトルは「宇宙(そら)のナユタ」とかそんな感じ。 星空を見ながらあのアニメみたいに宇宙を旅できたらいいのに、みたいな話をしていたりしたんじゃないか、ということになっています。 ボツタイトルは「オデッセイの騎士」 アニメなので実際の彼らの生活より多分コミカルだったり劇的だったりするのでしょう。 そういう雰囲気ではないのでボツになった「騎士」は「シドニアの騎士」から。 移民船と言われるとそればかり頭に浮かんで仕方ありません。 コミカルなSFと言えば、「スペース☆ダンディ」ばかり頭に浮かびます。
(-6) 2014/07/23(Wed) 17時頃
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[畦道を抜けた先、古びた家屋に、『斎木商店』と看板が掲げられている。]
「じゃ、また明日」
『おう、またな』
[小さな商店の入り口へと、少年は姿を消す。]
『花火、確保しといてくれよ!』
[追いかける声に振り返ることはない。 少女はその背が見えなくなるまで手を振る。]
(10) 2014/07/23(Wed) 20時頃
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『夏目、置いてくぞ』
[影が、今度は少女を呼ぶ。 慌てた様子で、少女は影の集団へと溶けこんでいく。]
(11) 2014/07/23(Wed) 20時頃
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<あなたを見ている>
『じゃ、また明日』
<暗闇へと溶けこむように、あなたは消えてゆく> <その姿を、最後まで、丁寧に見届ける> <わたしの瞳がそうしてあなただけを、ただ、毎日、>
<きっと、あなたは知らない>
(12) 2014/07/23(Wed) 20時半頃
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<暗転>
(13) 2014/07/23(Wed) 20時半頃
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[夕暮れの教室。]
[真っ赤な夕日が室内を刺す。 カーテンを揺らす風が、少しの涼やかさを与える。 制服姿の少年と少女が、ふたりきり。]
大学には行かないの?
[椅子に腰掛けたまま、澄んだ声で少女は尋ねる。]
「ああ、行かない」
[少年の返答に、少女は(そっか)と呟いて、それ以上何も言わない。]
(14) 2014/07/23(Wed) 21時半頃
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「俺が大学に行ったとして、4年だろ。親父、もたねえよ」
[少年の父親が身体を悪くしたのだと、狭い世界の人間は皆知っていた。]
「店、潰すのもさ」
[そして、口を噤んだ少年と、目を合わさないままに少女は言う。]
うん。
[それ以上、何も言えない。]
(15) 2014/07/23(Wed) 21時半頃
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白い壁。緑の壁。 青い瞳は、今ようやく、そのことに気がついた。
壁が色を持つということ。 世界は一定ではないということ。
一歩踏み出さなくとも、何かが髪をそよがせていること。
(16) 2014/07/23(Wed) 21時半頃
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季節は巡る。 私達三人は、変わらない日々を過ごしていた。 文化祭や、体育祭。 クラスで行う行事も盛況のうちに終わり、来年もまたこの面子であることを喜んでいた。
その、矢先。
(@5) 2014/07/23(Wed) 21時半頃
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和樹が、事故にあった
(@6) 2014/07/23(Wed) 21時半頃
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その知らせは、春にやってきた。 遅刻するから先に行ってろ、と寝ぼけ眼のカズに見送られて、タカと二人で登校した日だった。 一時間目が終わっても、一向にやってくる気配がない彼に、どうしたんだろう、と思っていた。 二度寝でもしたんじゃないか、というクラスメイトの言葉に笑っていた時、 たまたま職員室に向かった別の生徒が、息を切らして私達の元へやってきて告げた。
一瞬で、血の気が引いた。 気が付くと、私とタカは教室を飛び出していた。
(@7) 2014/07/23(Wed) 21時半頃
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大人になってから東京を訪れることになったのは偶然だった。 夏休みに祖父母の家に来た時だけ一緒に遊んでいた男の子の家があると聞いていたが、いつしか疎遠になってしまった。
私の住む町はありふれた田舎町でしかない。町は変わらないけれど、訪れる人は変わってしまう。 新しく見たもの一つ一つに、私の言葉一つ一つに感嘆していたあの子はもう来ない。
(-7) 2014/07/23(Wed) 21時半頃
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都会から来た人が帰る時にはいつも、置いていかれた気分になった。 海のにおいが強い岸に立ってさえ、慣れてしまえば何の特別も齎さず、つまらないと感じていた。 海のにおいと青さと崖の岩肌を打つ並の音と、一つ一つを楽しんでいたあの子を「こんなもの何でもないよ」と笑いながら、本当は少し羨んでいた。 東京に戻ればきっと他にも面白いものがいっぱいあるのだろうと思っていた。
(-8) 2014/07/23(Wed) 22時頃
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受験勉強以外に予定のない 退屈だけど平穏な夏休み そして高校生活最後の夏休みだ
親友とよべる友だちも 彼女もいない とくべつ運動ができるわけでもないし 大した特技があるわけでもない
そんなナイナイづくしの僕が これまたなにもない町の外に出てみたところで なにかを手にできるわけなかった 急にじぶんが情けなくなる
(17) 2014/07/23(Wed) 22時頃
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僕は 今や傷だらけのビー玉に 自分の日々を重ねると 有名ロックバンドの曲を口ずさみながら 思いっきり蹴飛ばした
つま先に わずかに硬いものが当たる感覚 陽を浴びてきらきら煌めきながら 落ちていくビー玉
遠くでコツンと音がしたあと そのままコロコロとどこかへ消えてしまった
さよならビー玉 僕は町にもどったらサイダーを飲むよ そしてまた凪のような生活にもどるんだ
(18) 2014/07/23(Wed) 22時頃
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職員室は騒然としていた。 白い顔をした担任は私達を見つけると、そのまま病院へと連れだした。 道中、ぽつりぽつりと、担任は状況を口にした。
車と衝突したこと。 すぐに救急車が呼ばれたが、意識がないこと。 怪我の状態も酷いものであること。
その間、私は後部座席で、タカの手を握りしめていた。 最悪の事態が頭をよぎる。 何の結論も出せないまま、伝えないまま、 いつかいつかと先延ばしにしたまま?
(@8) 2014/07/23(Wed) 22時頃
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不思議なもので、東京に来てみればビルの多さが目につくぐらいで、別にどうということのない普通の町に思えた。 焦がれた見知らぬ町で光るネオンよりも、退屈な田舎の町の空と海が輝かしいようにさえ感じた。
子供の私にとってまだ見ぬ宇宙に等しかった都会の町並みは今ではただの町になり、夜空に見える星が宇宙に戻った。
(-9) 2014/07/23(Wed) 22時頃
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星の少ない空を眺めて、隣にいない特別を思った。 何度でも星の多さに目を見張っていた少年の輝きを思った。
あの子が特に好きだったわけでも、嫌いだったわけでもないけれど、特別だった。 夏の特別だった。
(-10) 2014/07/23(Wed) 22時頃
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「大丈夫だよ」
俯いたまま、ベンチに座っている隣で、タカの声がした。
「約束しただろ? 来年の夏もまた、星を見に行こうって」
私は、うん、と頷くことしかできなかった。 夏の約束。 来年も、その先も、疑っていなかったあの頃。 忘れられない視線と、言葉と、
(@9) 2014/07/23(Wed) 22時頃
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そこから先は、覚えていない
(@10) 2014/07/23(Wed) 22時頃
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「アニメみたいに? 宇宙船で星を探しに行くの?」
聞こえなかった言葉を 問い返すこともなく
「楽しそうだね」
聞こえた言葉の字面だけ 応える 何も見ていないふり 星だけを見ているふり
気づかないふりに 君は気づかない あるいは 気づかないふり
(19) 2014/07/23(Wed) 22時頃
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『何億光年 輝く星にも 寿命があると 教えてくれたのは あなたでした 季節ごとに咲く一輪の花に 無限の命 知らせてくれたのも あなたでした』
(-11) 2014/07/23(Wed) 22時頃
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後から聞いたところによると、残念ながら、という声を聞いたと同時に、私は気を失ったらしい。 それから通夜、葬式と茫然自失といった表情で参列したという。
唯一のその周辺の記憶は、煙突から煙が空へと登っていくところだ。 青く、雲ひとつない空が、あの日を思い起こさせたのかもしれない。 私はただ、ぼうっとそれを見つめていた。
(@11) 2014/07/23(Wed) 22時半頃
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/* んー エピ入る前に書ききるか
(-12) 2014/07/23(Wed) 22時半頃
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澄んだ歌声が聴こえる。 暑さとかき氷の「のぼり」の魅力に負けて入った店で、流れていた曲。そんな些細なことを覚えているのは、あの子に星と宇宙の話を得意満面にしたからだろうか。 自分も本当は、「宇宙のひみつ」を読んで知ったばかりの癖に、こんなことも知らないのかと力いっぱい偉ぶっていた。
あの子はまだ東京に住んでいて、同じように歌を聴いたりもしているのだろうか。 実はこの会場にいたりして、などと益体もない妄想が過ぎって苦笑する。
(-13) 2014/07/23(Wed) 22時半頃
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万一、いたとしたって「あの子」がいることは決してない。
(-14) 2014/07/23(Wed) 22時半頃
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「君の気持ちが少しだけ、分かったよ」
今はもうどこにもいない あの日の君に 呟きを小さなビンに封じて 心の何処かに流した
(20) 2014/07/23(Wed) 22時半頃
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――現在――
蝉の声で、現実に引き戻された。 あの後、高校を卒業した私達は同じ大学へ進み、二人の関係は幼馴染から恋人、そして夫婦へと形を変えた。
そこに至るまでに、一つの葛藤があった。 否、今でも、少し。 目の前の石が何も言わないことをいいことに、 置き去りにしていた、私と彼の、関係。
(@12) 2014/07/23(Wed) 22時半頃
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/* 一応、個人的には>>19一行目にてリンクを張る作業は終了しました。 灰に埋めた裏設定込みじゃないとよく分かりませんが。 とはいえ、お互いあちこちフィルタ順とは関係なしに何となく繋がってる感がありますね。 好き勝手に独り言をしているけど同じ空間に居る。面白いです。
(-15) 2014/07/23(Wed) 22時半頃
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私が出した――出せなかった結論は。 即答もできず、後にも何も言わない。 それは、ただの否定の言葉よりも残酷だ。
きっと、彼もわかっていたのだ。 私が、彼を恋愛対象として見ていなかったことを。 恋人として振り向きはしないことを。
だから、忘れろ、と言った。 強がって、興味が無いふりをして。 それが、彼なりの優しさだ。
(@13) 2014/07/23(Wed) 23時頃
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/* 女の子の方に顔と名前がありません。 人名とか考えるの苦手だからそれでもいいかなと思いつつ。 議事国なのに何故か文明開化から選ぶと、ツバキでしょうか。 議事国から選ぶならパティ辺りか。ツバキとパティ全然違いますが、イメージに合う人を選んだらそんな感じに。 コリーンも有り得なくはないことに気づいたけど既に別人でした。 名前は波多野明子(はたの あきこ)としましょう。 メモの名前の欄がなかったら多分二人共無名だったかと思いますが、大河内に名前あるのに無いのは可哀相なので……名前に使い道は特にないですが。
(-16) 2014/07/23(Wed) 23時頃
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忘れたことはない。 今でも、思い出せる。
すこし気まずそうな顔も、 真剣な顔も、 苦笑いした顔も、 あの時の空気も、 夏の夜空も。
夏の大三角形を見る度に、揺り戻される感情。 私は、 私は、ただ、
(@14) 2014/07/23(Wed) 23時頃
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失いたくなかった。 幼馴染として、友人として。 だから、優しさに甘えて、言わずにいた。
言えばよかったのだ。 二度と戻れない、あの、夏の日に。
貴方のことは大切だ、と。 望む関係にはなれないけれど、 無くてはならない存在で、友人として、幼馴染として好きだと。
ただそれだけのことが、言えなかった。 ずっと、ずっと、秘密にしていた。 君の知らない、私だけの秘密。
(@15) 2014/07/23(Wed) 23時頃
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「ハルカ?」
私の表情を覗き見る彼と目があった。 ぱち、とまばたきをする。 ずいぶんと時間がたったのか、彼の首筋には汗の跡があった。
「たくさん、思い出してたの。 あの日のこととか」 「あの日?」 「そう。 カズが……、星を見に行こうって、言った日」
さっきその話をしたから、というと、納得したような顔をした。 多分、彼にとっては、沢山過ごしてきた中の一日でしかないのだろう。
(@16) 2014/07/23(Wed) 23時半頃
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「じゃあ…、また来るな、和樹」 「またね、カズ」
思い出話を幾つかしてから、私達はその場から立ち去った。 またね。 きっとくる未来を前提に。
ぎらぎらとしていた太陽は、少し力を弱め その代わりに、雨雲らしきものが近くに見える。 そのうち、通り雨がくるだろう。 空気の埃を落として、きっと夜には晴れているはず。
(@17) 2014/07/23(Wed) 23時半頃
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「夏目は?トーキョー行くんだろ?」
[シンボリック・トーキョー。 現実感を伴わない言葉は宙に浮く。]
うん、看護婦になるの。
「そっか」
[会話は続かない。]
「夏目、二人でいると結構しゃべるのにな」
(21) 2014/07/23(Wed) 23時半頃
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<あなたを見ている>
『夏目、二人でいると結構しゃべるのにな』
<そんなことないよ、という言葉は声にならない> <もっともっと、話したいことならある> <けど、あなたが言っているのはそういうことじゃなくて、>
<滅多に口を利かないわたしが、変わっていると言われること> <その評価が妥当だってことも、わたしが一番知っている>
<それでも、>
(22) 2014/07/23(Wed) 23時半頃
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「帰るか」
[少年が立ち上がる。少女も黙ってそれに続く。 二人は揃って校舎を後にする。]
(23) 2014/07/23(Wed) 23時半頃
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「タカ。 今夜、星を見に行こう」 「今夜?」 「そう、今夜」
和樹みたいなこと言うなあ、と笑ったあと、それもいいね、と頷いた。 晴れたらな、と付け加えるのに、きっと晴れるよと心の中で返す。
晴れて、大三角形がみえたなら。 10年越しの気持ちに決別しよう。 あなたの笑顔が好きでした、と。
(@18) 2014/07/23(Wed) 23時半頃
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/* 尻切れトンボは私の得意技です
おわりだ、おわり これ以上は蛇足だしそもそもいらんとこが多すぎるし 書き進めてたら最初の方となんか微妙に違うし
うん、でも、吐き出せてすっきりした そのうちNisshiかなんかで書き直そうかな そうしよう
(-17) 2014/07/23(Wed) 23時半頃
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/* 二度と戻れない数日前 #今頃なんだ
(-18) 2014/07/23(Wed) 23時半頃
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/* 当初はもうちょっと三人を絡ませるつもりで、>>0:@1みたいな意味深な書き方してたんだけど
まあ多分隆也が思い出したのは和樹が死んだ時なんだ、とか、なんとか 春とかいたけど夏に近いみたいな描写を入れたらよかった って、今思った
(-19) 2014/07/23(Wed) 23時半頃
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/* とか、なんとか、一人反省会。 墓下で長々とログ伸ばしててすみません…
(-20) 2014/07/23(Wed) 23時半頃
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[申し訳程度に舗装されたアスファルト。 道の脇、真っ直ぐと日に向かって咲く向日葵>>0:29が、赤い日の中で揺れる。 咲き誇るそれらの中、くたりと下を向いた一輪だけがしょげて見える。]
――き?
[少女が少年に駆け寄って、囁く。 少年はきょとんとした表情を浮かべた後、ゆっくりと頭を振った。」
(24) 2014/07/23(Wed) 23時半頃
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<あなたを見ている>
<ふわり、風に揺れる向日葵を、あなたは見つめていた>
――向日葵、すき?
<それは、ほんの好奇心> <あなたは、唐突な質問に少し固まって、そして首を横に振った>
『いいや、別に』
<答えは、それだけ> <お伽話や文学のように、そこに深い意味なんて> <結局のところ、ありはしない>
(25) 2014/07/24(Thu) 00時頃
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[再び、商店の前。]
「気を付けて帰れよ」
[少年は薄暗い家屋の奥へと吸い込まれていく。 少女は、その背が見えなくなるまで手を振る。]
(26) 2014/07/24(Thu) 00時頃
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<暗転>
(27) 2014/07/24(Thu) 00時頃
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[だだっ広い広場。あるいは、グラウンド。]
『おせーぞ、夏目』
[影が発した声に、少女は息を切らして笑んだ。]
『もう始めちまってるぞ、ほら、夏目も』
[別の影が差し出した花火を手に取りながら、少女の視線は泳いでいる。]
(28) 2014/07/24(Thu) 00時頃
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「ああ、」
[そして、一点で止まる。]
「遅かったな」
[斎木くん、と少女は笑んだが、その声は荒く吐く息にまじって消えた。]
(29) 2014/07/24(Thu) 00時頃
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<暗転>
(30) 2014/07/24(Thu) 00時頃
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/* 何となく波多野明子で検索かけたら居た…… 知らない有名人と名前被らないように検索かけたりすることもあるんですが、ぬかりました。 こちらは有名人度低そうなのですが、波多野秋子という人はもしかしたらそれなりに有名なのかもしれません。
(-21) 2014/07/24(Thu) 00時頃
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[寂れた駅のホーム。]
さよなら。
[少女は笑む。少年は荒く息を吐きながら、それでも尋ねる。]
「なんで、こんな時期に」
[色々、と少女は笑みを崩さない。]
さよなら。
[もう一度言って、少女は扉の向こうへ消えた。]
(31) 2014/07/24(Thu) 00時頃
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<あなたを見ていた>
『なんで、こんな時期に』
<あなたは焦ったような表情でそう言う> <わたしは答えない> <答えるけれど、何も、ほんとうを告げることはない>
さよなら。
<それで充分だった> <扉の向こう、あなたが呆然とした表情で、> <まだ、よく分かってないって顔で、>
(*0) 2014/07/24(Thu) 00時頃
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<わたしを見ていた>
(*1) 2014/07/24(Thu) 00時頃
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[どこからか遠く、聞こえてくる歌声。 指さす先 見える陽炎]
『 もう会えない』
「 ばいばい 」
さよならなんて、 嫌だよ ――ねえ。
(32) 2014/07/24(Thu) 00時頃
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しあわせを、さがしにいこう。
(33) 2014/07/24(Thu) 00時頃
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<あなたはもう見えない>
(34) 2014/07/24(Thu) 00時頃
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それが幻でも。 逃げて行くものであっても。
探しに行こう。
――遠く遠く、向こうに見える夏の思い出のその先まで。
(35) 2014/07/24(Thu) 00時頃
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『 ……夕顔 』
少女はいう。
「 ……朝顔 」
少女は泣く。
(36) 2014/07/24(Thu) 00時頃
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会いに、行くよ。
雲を突き抜けて
哀の裏側を覗き見る。君を求めて。
少女の投げたビー玉はもう無く、いつしか歌声だけがそこに残り。
(37) 2014/07/24(Thu) 00時頃
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誰かの落とした日傘は空を飛ぶ。
雨が降れば名も知らぬ唐傘さんが通り行く。
『 ――待って! 』
私はあの子を追い掛けて。 無我夢中、走りにくい着物が乱れても走り抜ける。
(38) 2014/07/24(Thu) 00時頃
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[突然腕を掴まれ、振り返ればそこにはさっき会話したばかりの少女の姿。]
『 ……会いに、きたよ 』
[私は目をまん丸く見開いて。]
『 好きな花は、なんですか? 』
[ そして、わらったの ]
(39) 2014/07/24(Thu) 00時頃
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アリスの肌は熱を持たない。 無機質で、揺らぎのない完璧な身体。
青いスカートが揺れる。揺れる。 白い袖が膨らむ。膨らむ。
今は、いつ?
時間の概念も、此処にはない。 いつだって「今」で、前を見ても後ろを見てもどれも同じ。
(40) 2014/07/24(Thu) 01時頃
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上の壁が開いた。
アリスは口を大きく開ける。 いつから上の壁は、空色だった?
「そ ら」
空気が震える。 風以外にも、何かを震わすものがあるってこと アリスはいつだって、そう、「前」から
「しってた」
(41) 2014/07/24(Thu) 01時頃
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