191 忘却の箱
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うん。…うん。 いっしょ、に。一緒にいような。ずっと。ここが、オレらの家だから。ずっと、一緒だ。
[噎せ返るような花の香りを抱いて。あやすように背中を撫でて。もうとっくに、物言わなくなった少女を、抱き上げたまま。
落ちた前髪の隙間から、とめどなく雫が頬を伝って、その肩に、背中に、新たな花弁が芽吹くけれど。 青年は、決して彼女を降ろそうとはしなかった。]
……ヤニク。
[上ずった息を吐いて、扉の近くでそっと見守っていてくれた男を呼んだ。]
悪ィ…ちょっと付き合ってくれ。 ちゃんと、休ませてやる前に、……そと、連れてってやりてえ、から。
[腕の中のささやかな体温を、落とさないように抱き直して歩き出す。肩越しに振り返って、スティーブンを見た。]
センセイ。……マーチェの事、よろしくな。
[言って、少しだけ笑ったその顔は。]*
(1) 2014/09/09(Tue) 00時半頃
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/* このへんからシーシャは虚ろと正気の間隔が短くなる そうして最後は、正気のまんま狂気を両手で抱えて死ぬ
(-1) 2014/09/09(Tue) 01時頃
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/* ように、したい、なあと。
(-2) 2014/09/09(Tue) 01時頃
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/* ヤニクの人の心情描写が上手すぎてすげえ追い打ちがくる 鼻水とまらないんすけど
(-4) 2014/09/09(Tue) 02時頃
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/* 皆が可愛すぎて落ちてくのが辛くてもう俺がしにたい(溜息
(-5) 2014/09/09(Tue) 02時頃
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/* 最終日落ちだとさー、墓下のがかわい子ちゃんでいっぱいじゃん? ep開始直後の微妙にあったまった空気に一人(というか残留組ぜんぶ)悲壮感丸出しじゃん? 想像するだけで泣ける
(-7) 2014/09/09(Tue) 02時頃
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/* だが今回はスティーブン先生にトラウマんなるぐらいの愛情ぶつけて死のうと決めた コイツはそういうやつだ
(-8) 2014/09/09(Tue) 02時頃
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/* ←コイツ
(-9) 2014/09/09(Tue) 02時頃
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―廊下―
[腕に少女を抱いて、裸足のままリノリウムの上を進む。しんとした廊下に、ぺたぺたとどこか間の抜けた足音が響いて、その滑稽さがまるで今の自分のようで。 時折、詰まる息を短い咳でやり過ごしながら、ゆっくり、ゆっくり、歩いていた。
背後について来るヤニクから、代わろうか、気遣う声がかかる。>>7 聞き慣れたはずの声がやけに低くて、きっとそれは彼も何かを堪えているからで。]
…いい。 オマエじゃ危なっかしくて、オレがおちつかねえよ。
思う傍から霧散する思考では、返す言葉も上手く見つけられず。結局、いつものような軽口が、温んだ夕方の空気を揺らした。
もうすぐ日が暮れる。 夜が来て、明日も。明後日も。 花は咲いて、散って。いつか。]
(8) 2014/09/09(Tue) 18時頃
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(────── いつか、オレも、)
[忘れてしまうんだろうか。]
(9) 2014/09/09(Tue) 19時頃
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オレが酷いこと言うのはいつものことだろ、
[返る声に少しだけ口元を歪めて。忘れてないだろ?言外に滲ませる。 ここではどんな約束も、どれほど繰り返したって不確かなままだから。そうやって確かめずにはいられないのだ。
柔らかなオレンジ色の光が、紅鳶色のレンズに映る世界の輪郭を曖昧にする。 床から天井までぴったりと嵌め込まれた強化硝子は、今朝あった喧騒など忘れたふりで。
けれど、中庭への扉の近く、リノリウムのうえに落ちる萎れた花弁が一枚。鴇色のそれを、膝を折って拾い上げた。ギターを持ったいつかの彼が、網膜の奥を過る。]
(15) 2014/09/09(Tue) 22時半頃
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『君は』 『何処まで覚えてる?』 『何処まで僕らは覚えていられると思う?』
[後ろから投げかけられたのは、果たして問いであったのか。>>13 やけに自戒のような、自嘲のような響きを持って、曖昧な音。]
──── 言ったろ、「俺はひとりも忘れてない」。
[青年が繰り返すそれは、まるでまじないじみた言葉。 けれど、常の様な強気な青年の面影はなりを潜め。ただ、「そう在るように」と──祈るようなか細さだけがそこにあった。
そうして、中庭への扉を開ける男が、追い抜く瞬間、届いたその呟きに。>>13
伏せた瞳がまた、少し滲んだ。]
(17) 2014/09/09(Tue) 22時半頃
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/* 桃…そういやこの村で桃という発想は無かった… シーシャには家族愛?みたいなのしか無い というか人生においてまともな愛情を形成する要素が無かった感じ
(-11) 2014/09/09(Tue) 23時頃
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/* まずメンツに女の子二人、そして片方婚約者がいて片方16とは言え幼子だぜ…神聖過ぎて手なんかだせるもんかよ…
(-12) 2014/09/09(Tue) 23時頃
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……、?
[夕日の中、思わず、といった感じで差し出された手に不思議そうに首を傾げる。 その手がペラジーのポケットを示せば>>19、納得がいった青年は微かに笑った。
夕日の差し込む中庭を、二人は少女と進む。 さくり。剥き出しの足の裏に感じる、湿った土と草の感触。柔らかなそれが、足音すら消して。
中庭の中央にある広葉樹まで歩けば、青年はその下のベンチに少女の身体をそうと降ろした。]
Inside the pocket, there's one biscuit──… …これも、オマエの『魔法』?
[ベンチに座らせたペラジーの前にしゃがみ、ポケットからくるまれたビスケットを一枚。 低い声で歌って、隣に立つ男を見上げた。 魔法。青年は、男の手品をそう呼んだことは一度もない。含みのある言い方に、ヤニクは気付いたかどうか。]
……ここ。好きだったもんな。オマエ。
[立ち上がってベンチに腰掛ける。ぽつりと言って、少女の髪を撫でた。]
(21) 2014/09/10(Wed) 00時頃
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[赤いフードの男が傍らに立ったままなら、座るように促して。 手の中のビスケットの端を咥え、真ん中でパキリと折った。ん、と短く言って、ヤニクの口元にそれを当てがう。戸惑うようなら、構わずそれを押し込んだだろう。
そのまま押し黙って、落ちる日差しに溶ける中庭の景色を眺めながら。 口の中でほどけていくビスケットは、味覚なんてどこかに咲き忘れてしまった筈なのに。どこか、甘かった。]
────…なァ。オマエにさ。
[どれくらいそうしていただろう。 視線を前に向けたまま、青年の唇が動く。紅鳶色の瞳は、どこか遠くを見詰めて。時折、古い記憶を呼び起こすように細められる。]
ずっと、訊こうか迷ってたことが──あって。 忘れてたらそれでいいんだけど、さ。
[逡巡するような間。 無意識だろう、両手の指が、腕に咲いた花を押し潰す。]
…サーカスに。いただろ。いろんな都市を回って。 前座で、赤いフード、被って。 オマエのこと、見たことある。たぶん。
(22) 2014/09/10(Wed) 00時半頃
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[重ねられたフィルムの中の、その情景は。けれど観客席からのものでは無い。
いやに歯切れ悪く。また、沈黙。 息を吸う。したくない話を、無理にするような。それから、問うた。]
(23) 2014/09/10(Wed) 00時半頃
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なあ、オマエ────『フリーク・ショウ』って、知ってる、?
[どこか強張った表情で。 絞り出すような声で、言った。]*
(24) 2014/09/10(Wed) 00時半頃
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──『まだ』、あんのかな、って。…今でも。
[戸惑うようなヤニクの答え。サーカスの一団に居たのなら、なおさらソレ≠ノ好い響きは感じなかったかもしれない。
芸とは違う、浅ましい見世物小屋。 ひとかけらの自由も与えられず、泣き暮らしながら、それでも憧れた。外の世界に。]
あ──…悪ぃ、やっぱあんま面白いハナシじゃねぇな。そもそもあんま覚えてねえし。無し。いまのナシな。
[ゆるく首を振って、ヤニクを見る。 ふらふらと立ち上がった男の声は、どことなく夢の中をさまようようで。>>31 中庭を染めぬいた金色の夕日の中、その横顔に、いまより少し幼さの残る彼の姿が重なった。
雨の日曜日。サーカス。テント。きらきらと、眩しいくらいに煌びやかな照明と。アコーディオンの音。赤いフード。鮮烈な、一枚の記憶。 青年は目を細める。哀しげに、少し、いとおしそうに。]
ずっとな。オマエのシャツに名前書いたあの日から。ずっと。 ──オマエが、ここに、来なけりゃ良かったのにって。思ってたよ。
(32) 2014/09/10(Wed) 01時半頃
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[片腕の垂れ下がったパーカーを見るたびに。 器用に片手で食事をする彼を見るたびに。憧れたサーカスの、その象徴のような、赤いフードを見るたびに。
サナトリウムに来る前の青年が憧れた、『外の世界』の、それ。なぜそれが、この箱の中にあるのだろうと。理不尽な怒りが、切なさが、どうにもぶり返して。 毛嫌いというわけでは無いけれど、男へのアタリはキツかった自覚がある。]
(八つ当たり。だよなぁ。…だっせぇ。)
[それでも。それでも、彼の演奏を聴くのは。低い声が、唄うのを聴くのは。]
なあ。 弾いてくれよ。唄っててくれ。オレは、前のオマエも今のオマエも──、
[忘れないから。
言って、願う。どうか彼の花が、今以上に咲かないように、と。今も鮮明に残るあのサーカスが、ずっと途切れないように、と──叶う筈のない願いを。]*
(35) 2014/09/10(Wed) 02時頃
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/* すいません寝呆けてたんです色々失敗しましたほんとすいません ヤニクの中の人さんにはepで土下座しますぅぅううううう
(-18) 2014/09/10(Wed) 02時半頃
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/* 書いたつもりだったんだ! フリークショウに居たことは書いたつもりだったんだ! 今朝投下したと思ってたんだ!読み返して俺がビックリしたわ! ほんとすいません!!!!!、!!
(-19) 2014/09/10(Wed) 02時半頃
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/* あぁぁああもうほんと恥ずかしい恥ずかしい墓下行きたi(願望
(-20) 2014/09/10(Wed) 02時半頃
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[ヤニクが出て行った中庭に、暫しそのまま佇んでいた。 去り際の男の顔が、泣き笑いみたいで。>>37 押し付けに近い願いが叶うことが無いのは、彼も自分も百も承知だ。明日も、明後日も。そんな保証はひとつもないのに、いつもいつも、本当に言いたいことは上手く伝えられない。]
──…憧れてたんだ。 オマエは、俺にとって、外の風景だったから。
[今更落ちた言葉は、砂を噛むようで。 瞼の裏では、あの夜のサーカスが、今も躍る。]
(40) 2014/09/10(Wed) 08時半頃
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…ん。冷えるよな。部屋、戻るか。
[沈んだ日に少し身震いして。 もう一度、隣の少女を抱き上げた。ゆっくり中庭を一周まわり、それから彼女の部屋へと向かう。]
おやすみ。……チビ助。
[ベッドに寝かせたペラジーの頬を、名残り惜しげに一度撫でる。 纏い付くように咲いた彼女の花を、そうっと、一輪だけ摘んだ。 傍を離れて、また廊下を歩く。
途中、すれ違ったスタッフに、少女を頼むと医師への伝言をして。 ──何処かで唄は、楽器の音は、鳴っていただろうか。自室へと向かう青年の足取りは、まるで幽鬼のようだった。]**
(41) 2014/09/10(Wed) 08時半頃
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─208号室の患者─
[自室。締め切ったカーテンの隙間から、月明かりが零れ落ちる。 青年は結局、食事を取りには行かず、医師の元にも戻らなかった。
ベッドの上で薄い毛布を頭から被り、子供のように膝を抱える。 傍には、中庭の前で拾った鴇色の花びらと。少女から手折った、まだ新しい花。
翳の落ちた瞳はいつかよりもずっと虚ろで、薄い唇は音に成らない音を紡ぐ。 何度も何度も落ちる浅い微睡みの中で細切れに夢を見た。
居なくなった誰か。知っている筈の場所。白いドレス。赤い背表紙の日記。雨の日曜日。みんなで逃げた。ペンと、シャツと。だいじょうぶって言ったあの人。飴玉。ギラついたたくさんの目。カーテン。弟の、怯えた顔。でも、もう。]
……おもい、だせない……
[噎せ返るような甘い薫り。月明かりが忍び込む。スティーブンすら立ち入らせないその部屋の中は。
壁も天井も床もベッドの上さえも。おびただしい「誰かの花」で埋め尽くされていた。]
(52) 2014/09/10(Wed) 15時頃
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[青年は、ここに来る前のことは、あまり覚えていない。 途切れ途切れの音と鮮明な映像が残るのみで、感情や経緯はそのほとんどがとっくの昔に咲いて、散ってしまった。 けれども、写真のフィルムのように焼き付いた映像を並べてしまえば、それは無声映画のように編み上げられたストーリーになって。 知りたくもない現実は、『記憶』として彼を苛んでいた。 奇形の獣や人間を集めた見世物小屋。 向けられる好奇の目。泣けば花が咲くからと、随分手酷い扱いを受けた事。 雨の日曜日に、街へ来た大きなサーカスの一団。喧騒に紛れて、みんなで逃げた。一緒にいたのは皆、ささやかな金で親に売り飛ばされた者達ばかり。 赤いフードの誰かを見掛けたのは、おそらくその逃亡劇の途中で。人に紛れるために忍び込んだサーカスのテント。同じ見世物の筈なに、こんなにも鮮やかな世界があるのかと。
逃げ出した興奮とあいまって、その日はなかなか寝付けなかったのは、まだ憶えている。]
(53) 2014/09/10(Wed) 15時頃
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[追われているのか、どうなのか。 それすら分からないまま、皆で、出来るだけ、出来るだけ遠くへ。そうやって渡ってきた。 けれど、もうずっと長いこと奇病を患っていた彼は、さまざまな事を取り零してしまう。仲間の名前。これから何処に向かうのか。自分を呼ぶ声。人間らしい生活の、根本的な事まで。
大丈夫。そう言ったのは、誰だったか。シーシャ、お前が憶えていられるように。そう言って、互いのシャツに名前を書く。皆がみんな、笑顔だった。 声を名前を忘れても、その切り取った一枚なら。お前、憶えていられるだろう?だから、大丈夫だと。]
……だれ、だったっけ……
[そう言った彼の。仲間の。顔が。切り取った筈のその映像が。もう。]**
(54) 2014/09/10(Wed) 15時頃
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/* だめだwwwww深刻なシーン(楽しい)なのに、メモの「ズリエル、咲きます」で腹筋が粉々になったwwwwwwwwwwちくしょうwwwwwwwwwwwwwww
(-22) 2014/09/10(Wed) 15時頃
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/* 終始テンション可笑しくてスイマセン この世の不幸を詰め込んだみたいな設定楽し過ぎてみんなが可愛過ぎて灰を汚さずにはおれんwwwww
(-23) 2014/09/10(Wed) 15時半頃
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─朝─
[浅い眠りから目が覚める。 シーツの中でもぞもぞと身体を動かすと、触れる肌に違和感。がばり、と身をを起こす。 落ちた毛布から露出した上体は素肌で。その腕から首筋、肩甲骨まで、びっしりと細かな花が密集していた。]
………は、…
[けれど、小さく笑った青年の手は、柔らかくそれを撫でるだけ。抜け落ちたものだけを払い取ると、ベッドを降りる。椅子の背凭れに引っ掛かったシャツを羽織り、雑にボタンを掛けると扉に向かった。]
(みず…水、のみたい)
[ふらつく足で廊下に出る。一度だけ、部屋の中を振り返った。 さかさかと、部屋を埋め尽くす乾いた花たちが揺れる。]
………行ってくる。
[誰に、とも何処へ、とも無く呟いて。後ろ手に扉を閉めた。]*
(76) 2014/09/10(Wed) 21時頃
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/* ああクソ、ヤニクさんのロルが堪んねーほんと堪んねー 格好良いぜ…
(-25) 2014/09/10(Wed) 21時頃
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[共用の水道で水を飲むついでに、ばしゃばしゃと頭からも被る。 拭くものも何も持っていないけれど、顔だけ袖で拭ってふるふると頭を振った。 残った雫が流れ落ちるのには構わず、ふうと深い息をする。 酷く身体が怠いのは、ここのところマトモに食事をしていないからだろうか。]
……、上……
[振り返って、廊下の奥を睨む。 そこにあるのは上階への階段。足を引き摺るみたいに歩き出した。 今なら。今日なら。いける、だろうか。
覚束ない足取りで、階段を。上に、上に。 焦点の定まらないような目で、────ガシャン。
何か硬質の物が砕け散る破壊音に。>>82 はっとして、青年は急ぎ足で上階を目指した。]
(84) 2014/09/10(Wed) 22時頃
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…──なに、してんの?
[開け放たれた屋上のドア。 立ち尽くす男の背中に、声を掛ける。>>83 砕け散った硝子が、きらきらと陽光を乱反射する。ひらり、と。色とりどりの花びらが舞って。あっという間に風に攫われていく。]
ズリエル、…………。
[そこに居た彼は、出会った日のようにタオルを被る事も無く。 あの日の怯えた子供みたいな様子とはすこし違ってみえて。 何となく、踏み込むことが躊躇われ、青年は屋上の入り口で、立ち止まっていた。]*
(91) 2014/09/10(Wed) 22時半頃
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『 ズリ、エル、って………何です? 』
(──── ああ、やっぱり、オマエも、 )
(98) 2014/09/10(Wed) 23時頃
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[風に嬲られた男のシャツが靡く。まごうこと無く、自分の字が書かれたシャツが。 パタパタと音を立てて、それは屋上に群れる鳩の羽音に混じって。耳の、奥に、届く。]
…──なぁ、
[じゃり。内履きの底が、屋上の割れたコンクリートを踏む。一歩。じゃり。もう一歩。
そこは、白い箱の天辺で。 ずっと。青年が、ずっと来たかった場所。結局、今の今まで来れなかった場所。]
(99) 2014/09/10(Wed) 23時頃
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[じゃり。 踏み出した足が、陰を抜けて。 夏の名残りの日差しが、肌を、視界を、灼いた。]
オマエも、どっか、いっちまうのな。
[声はもう震えない。風に煽られた髪の隙間から、紅鳶の瞳が覗いて。何度もなんども、シャッターを切る。忘れないように。忘れない為に。でも。]
────バァカ、……言ったろ、オレは、忘れねえんだよ。 オマケにしつこいし、諦めも、…すげぇ、悪い。
[視界がぐにゃぐにゃと歪む。 声は、確かに震えていなかった。けれど風に混じって水滴が舞う。舞う。コンクリートに染みを作って、また。花が咲く。]
(100) 2014/09/10(Wed) 23時頃
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…ッ忘れてやんねぇからな、ぜったい、
[踏み出す。内履きが足から外れて、何処かへ飛ぶ。 蒸されたコンクリートの熱。足の裏が、その熱を蹴る。踏み出す。踏み出す。踏み出す。割れた硝子の破片が、皮膚を破る。それでも。構わない。
伸ばした手の甲にまで白い花が群れる。 掴んだ。もう目の前にいる男の胸倉を。その、名前が記された、シャツを。心臓の、真上を。]
オマエが、オレを忘れたって。オマエがオマエを忘れたって。 忘れてやんねえからな、絶対、ッ!
[ズリエル。 叫ぶみたいに呼んだ声。 どれほど泣いたら、どれほど叫んだら、この痛みはから抜け出せるんだろう。眼前の男の後方には、滲んだ蒼。また、シャッターが下りた。]*
(106) 2014/09/10(Wed) 23時半頃
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/* ひぃぃいいぁぁああヤニクさぁぁああん
(-31) 2014/09/11(Thu) 00時頃
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/* ズリちゃには申し訳無い…! 手が上手く動かないよーみんな居なくなっちゃってさみしいよー書けねぇぇえ
(-32) 2014/09/11(Thu) 00時頃
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