197 獣ノ國
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[渡された紙片を頼りに、汽車を乗り継ぎ目的地へ向かう。一人旅なんて、一体いつぶりだろうか。ジャニスは國の中ですら遠出をしたりはしなかったから、不慣れさ故にいつもの自信は鳴りを潜めている]
……連絡したら、迎えに来てくれたりは……、
[不安げな表情で端末を操作する。"彼"のアドレスを呼び出し、文章を打ち始めて――そうして、途中まで作り上げた文字列をそのまま破棄した。 ……突然行って、驚かせるくらいはしたいじゃないか。ぼんやりそんな事を考えて、子供みたいな自分の発想に、ジャニスはくつりと苦い笑みを零す。そんな意地を張っている場合なのか。
がらごろ。がらごろ。 重たい荷物を引き摺りながら、見慣れぬ道を突き進む。ああ、誰も彼も知らない顔だ。小さな國しか知らないジャニスに、國の外は恐怖の対象でしかなかった。 誰も、自分を知らぬ場所。その事実が、こんなにも重いものか]
(+1) 2014/10/09(Thu) 01時半頃
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―ルーカスの別荘前・早朝―
――は、
[しんと静まり返ったその場所。時刻は早朝。まだまだ薄暗い時間だ。漸く辿り着いたそこに、明かりは灯っていただろうか。そうであれば、安堵の一つも出来るのだけれど。
どちらにせよ、ジャニスは躊躇いながらも扉に近付くだろう。そうして何度も紙片に書かれた住所を見返す。恐らく、間違いはないと思う。けれど初めて来る地だから、どうにも確信は持てなかった。
こん、こん、と。 控えめにその扉を叩く。ベルがあったのなら、一緒にそれも押しただろう。 そうして不安げな表情のまま、扉が開かれるのを待つ。この扉を開くのが、"彼"である事を信じて。
――ああ、でも。彼に会ったら、また。泣いてしまうかも、しれない]
(+2) 2014/10/09(Thu) 02時頃
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/* ああくそ。入れたいロルまるっと忘れていましたよちくしょう
(-4) 2014/10/09(Thu) 02時頃
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/* あああもう3dは忙しなくし過ぎてヤニカリュのロルなんも拾えなかったつらい…。贈り物もさらっと受け取り過ぎたしメールでありがとしようと思ってたの忘れてたしほんともう…ほんと…なんなの……
(-5) 2014/10/09(Thu) 02時半頃
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……きゃっ、
[言葉を交わす間も無く引かれる手>>+4に、ジャニスは小さく悲鳴をあげる。背後で荷ががたりと音をたてて倒れた。けれどキツく抱きしめられる体に、そんな事を気にしている余裕も無く。 自らを抱く体に小さく息を吐き、そうして、そっとその背に手を回した。最初は柔く、けれど次第に、彼の存在を確かめる様に強く]
アナタの為なら、何だって捨てられるって言ったでしょ。
[腕に込められた力の、その息苦しさすら愛しくて。溢れた涙が彼のスーツに染みを作ったけれど、このくらいは許してもらおう。……だって、この腕を緩めて欲しくない。 此方からも強く抱きついて、すりと頭を擦り寄らせる。瞬きする度に涙が落ちて、嗚咽を堪えて歪む頬を伝った]
……もう、夢なんかじゃないわ。 夢を現実にする為に、アタシは来たのよ。
[この再会を、"夢"になんてさせるものか。 震える声で、けれど力強く言葉を吐く。夢なんていう泡沫の存在ではない。そんなもので終わらせるつもりは、端から無かったのだ、と]
(+6) 2014/10/09(Thu) 09時頃
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…………、 アタシも……あいしてる、
[いつもの余裕そうな笑みも何もない、彼の顔>>+5を見る。ジャニスだって似た様なものだ。否、もっと酷いだろう。溢れた涙は止められないままだし、零れそうになる嗚咽を堪え、強く奥歯を噛んでいるのだから。 頬に触れる唇に、ゆるく目を伏せる。拭われる筈だった涙は、次から次へと零れ落ちた。
絡まる視線に、漸く目元を和らげて。彼の瞳に映る色を見れば、微かに息を詰める。 一度、二度。寄せられた唇を拒むわけもなく、けれどそれに満足に応える事も出来ないまま、触れるあたたかさを堪能する。 けれどやがて、躊躇いがちに体を離せば、おろしたての手袋で自らの顔を拭った]
(+7) 2014/10/09(Thu) 09時頃
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……玄関先でなんて、恥ずかしいわ。 中に入れてちょうだい。
[誰が見ているわけでもないと、そうは分かっていたけれど。彼と口付けを交わすのであれば、もっと秘めやかな場所が良い。 彼の腕の中からするりと抜け出て、倒れた荷物を持ち上げる。そうして、僅かに染めた頬で彼を見上げた]
――入れてくれたら、良い物をあげる。
[首から下げた"時計"を服の上から撫でて、ジャニスはにこりと笑ってみせた。これが彼にとって"良い物"であるかどうかは、分からないけれど。……そうであってくれればいい]
(+8) 2014/10/09(Thu) 09時頃
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中に入れてくれるなら、味見以上の事もさせてあげるわよ
[手を取り戯けた様に落とされた言葉>>+14には、悪戯っぽく微笑んで。そうして踵を上げれば、彼の頬に口付けた。 重たい荷物は彼に任せて、逆の腕に手を回し、すりと擦り寄る。並び歩くだけで、こんなにも幸せになれるのだから不思議だ。 傲慢で強欲な自分が、それだけで満たされるだなんて。以前のジャニスに言っても信じないだろう]
ええ、そうよ。返事のひとつも寄越さなかった癖に!
……でもね。アタシきっと、電話をもらっても、出られなかったわ。 だって、声を聞いたら泣いちゃうもの。
[ぱたん、と。扉の閉まる音には、小さく口元を緩ませる。蝶が蜘蛛の巣に招かれた事を喜ぶなんて、何ともおかしな話だ。
彼に半ば体を預ける様にして、するりと"時計"をなぞる。そしてその指先を見詰める視線に気付いたのなら、一つ。朗らかに微笑んでみせただろうか。 ジャニスの胸元……"時計"に口付ける彼の後頭部を、ゆるうく撫ぜて。そのまま、その首元に腕を回す]
(+16) 2014/10/10(Fri) 09時頃
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そう。それの事。 でも、気に入ってもらえるかどうか、分からないわ。
[見上げる視線と、二度目の口付け>>+15に、ほんの少しの不安を塗り潰す為、ジャニスは楽しげに目を細めた。
そうして、ちゃりと小さく金属が擦れ合う音をたてながら、首にかけた鎖を引き出す。そうして背中側にある留め具を外せば、てのひらに蜘蛛と蝶との時計>>3:337を落とした。 鎖を掴み、彼の眼前にそれを掲げる様にして。小さく小さく、首を傾げてみせる。気に入ってもらえるかしら?なんて。そんな不安を、無意識の内に滲ませながら]
蜘蛛と、蝶の時計。 多アナタが集めているのは、もっと上等な物だと思うんだけど――、
[自信無さげに言葉を落とし、彼が屈んだままでいてくれたのなら、時計から伸びる鎖をそっとその首に回しただろう。嫌がられなければ、留め具をはめてみせて。腕はそのままに、彼の瞳を覗き込む様にする。 彼の首から伸びるそれは、やっぱり、似合っているとは言い難かった]
(+17) 2014/10/10(Fri) 09時頃
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……ごめんなさいね。時間が無くって、こんな物しか買えなかったの。 また今度、もっとマシなのをあげるから。
[ちゅ、と。小さく音をたてて額に口付け、そっと体を離す。そうして彼の反応にはあまり期待しないまま、ゆるく微笑んでみせただろうか。 ……喜んでくれなかったとしても。その"時計"を外させるつもりは、毛頭無いのだけれど]
(+18) 2014/10/10(Fri) 09時頃
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/* シメオンくんからのメールに気付いたものの拾うタイミングを逃した感
(-51) 2014/10/10(Fri) 09時頃
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……気に入ってくれたみたいで、良かったわ。
[嬉しそうに笑う相手>>+20に、安堵した風に息を吐く。 頬に返される口付けにぴくりと体を震わせながら、彼の指す時計へ視線を向けた。覗き込まれる瞳に気付いたなら、すぐに見つめ返しただろうけど]
るー、……ん、
[彼の名を呼ぶ形に開かれた口は、荒い口付け>>+21には塞がれた。先までは余裕無く重ねる事しか出来なかったけれど、漸くそれに応える事が出来ただろうか。 角度を変え、重ねる度に熱い吐息を零す。やがて唇が離されたのなら、見せ付ける様に唇を舐めてみせた。
手を引かれたのならそれに従って、逃すまいとするその腕に寄り添う。そんなに力を込めなくても、逃げるつもりなどないのに、なんて。胸中でだけ苦笑しながら]
(+25) 2014/10/10(Fri) 21時頃
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あら、良いわね。 そうしたらきっと、蝶も寂しくないわ。
[最後に一度、彼がそうした様に時計に口付けて、手を引かれるままソファへと導かれた。 座る彼に体を預け、腕を絡ませる。そうして緩む口元を隠しもせず、彼の方を見上げただろう]
……もう痛くないわ。 氷なんか要らない。
[頬に触れる手>>+22にほんの少し眉を寄せ。何処にも行かせないという風に、絡める腕に力を込める。 実際の所、切れた口は未だに痛むのだけれど。素直にそう言って、彼が離れて行ってしまうのが嫌だった。……例え、氷を持ってくるだけの僅かな時間でも。もう、離れたくはないから。 寄せられる唇と、指先に触れる手と。その二つに目を細める。口内は兎も角、指先の痛みはとうに無くなっていた。
そうして、乞う様に投げられた言葉には、幾度か瞬く。けれどすぐにはにかむ様に微笑めば、よりいっそう彼に寄り添って]
(+26) 2014/10/10(Fri) 21時頃
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……アタシはね、チョコレートが好き。 後は、ココアとか、ホットミルクとか。甘くて、安心出来る物が好き。
[身を乗り出し彼と向かい合ったのなら、軽く右手を上げ、一つ彼に教える度に指を折っていく。ひとつ、ふたつ。彼が教えてくれたのと同じ様に、自分の事を、少しずつでも彼には伝えてゆく。 たったこれだけで、胸が弾む様に高鳴った。たったこれだけで、満たされてしまう]
それと、やっぱり舞台は外せないわね。 アタシ、人に見られるのが好きなの。舞台に立って、役を演じて。……そこに向けられる視線が、堪らなく好き。
……そして、
[指を折るのを止め、ふと視線を彼に向ける。指先を握るその手を一度離したなら、絡める様に手を繋いだ。 そうして満足そうに口元を緩ませて、そっと。その手を自らの胸元に当て様としただろう]
(+27) 2014/10/10(Fri) 21時頃
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――アナタの事が、すき。 きっと、これがアタシの中でいちばん大切なこと。
[押し当てたてのひらに、高鳴る鼓動は伝わるだろうか。張り裂けそうなくらいの、この気持ちは。 微かに震えてすらいる手を、ぎゅっと握り締める。少し冷えた指先でも、きっと彼よりはあたたかいんじゃないだろうか。ほんの僅かでも、この熱から。彼への想いが伝われば良いのに。
伏せた瞳を縁取る睫毛が、ふるりと震えた。それでも口元は柔く微笑んでいる。 ああ、愛しさというものは。……こんなにも、泣きだしそうなくらいに、胸を締め付けるものなのか]
……アナタにとっての、いちばんじゃなくても良いから。傍においてね。
[向かい合うのを止め、彼の肩に頭を乗せる。ゆるりと胸元から手を離して、重ねたままその手を降ろす。手袋越しの体温は、何とももどかしいものではあったけれど。柔く伝わる彼の体温が心地良くて、離す事など出来やしない
――そうして小さく小さく呟いた言葉は、彼に届いたかどうか。届かなくたって、別に構いやしないけど]
(+28) 2014/10/10(Fri) 21時頃
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